「六花の勇者2」

■感想メモ。
「六花の勇者2」(山形石雄・スーパーダッシュ文庫)
六花の勇者 2 (六花の勇者シリーズ) (集英社スーパーダッシュ文庫)
 「七人目」だったナッシェタニアは去ったが、ロロニアという少女が現れ、またもや七人になってしまった六花の勇者たち。魔神再起までのタイムリミットが迫っており、疑心暗鬼はぬぐえないまま、魔哭領の奥へと進む。するとそこへ一体の凶魔が現れ、モーラに「君には時間がない」と告げる。そらに凶魔を束ねる統率者の一体、テグネウが六花の勇者の前に突如現れる。それは「七人目」の関わる策略なのか!?混乱の中で激闘が始まる。

 シリーズ第2弾。
 「7人目」が誰だか分からない疑心暗鬼の中、少しの成長や、かすかな信頼・絆の芽生えが垣間見えます。そうやって築かれて行ったものが、「7人目」が明るみに出たことで一気に崩壊してしまわないか、はらはらしてしまいます。
 今回は冒頭でひとつの事件が描かれ、そこに至ることになった道筋を追っていくという形式。”勇者”の背景であったり、凶魔たちの勢力について触れられ、世界観が広がって行くのはなかなかに興味深かったです。ナッシェタニアもまた勇者たちの前に現れそうですし、今回も続きが気になる引きでした。

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「憧れのあの娘が突然迫ってくるんだが、どうしたらいい?」

■感想メモ。
「憧れのあの娘が突然迫ってくるんだが、どうしたらいい?」(天草白・一迅社文庫)
憧れのあの娘が突然迫ってくるんだが、どうしたらいい? (一迅社文庫)
 俺、川瀬春道が憧れる桐原真白先輩は「女子力アップ美容薬」なるものを作り出し、目の前でそれを飲んでしまった。その日二人で居残りしているとなぜか先輩が制服を脱ぎ始め、さらには俺の前でブラジャーまで外してしまう。そして先輩は俺の腕をその豊かで柔らかな胸へ…。お、俺はこれからどうしたらいい?周りの可愛いあの娘から迫られまくるハーレム系迫られラブコメ登場。

 要するに「媚薬飲んだ女子3人にひたすら迫られる」というだけの、それ以上の内容のない、うっすい話でした。主人公が開き直ればそれはそれで面白かったかもしれませんけど、鈍感で、事態を解決しようとしてできない、という……。同じ展開でいくらでも引き延ばせそうだなーという感じでした。

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「ハレルヤ・ヴァンプ」

■感想メモ。
「ハレルヤ・ヴァンプ」(山口幸三郎・電撃文庫)
ハレルヤ・ヴァンプ (電撃文庫 や 6-4)
 吸血鬼狩り(ハンター)見習いの高校生晴夜は、ある夜道に迷った少女テアを助ける。だがその翌日、彼は仲間と共に吸血鬼に襲われ、命を奪われてしまう──。
 次に目覚めた時、晴夜は無傷だった。不審に思う晴夜に、テアは告げる。「この牙で晴夜の体内にわたしの血を与えたわけです」
 この日から、吸血鬼狩りでありながら吸血鬼となった晴夜と、仲間からも人間からも追われる吸血姫テアとの奇妙な主従関係が始まった──!

 シリーズ第1弾。
 どこかで見たような設定・ネタが多く、この作品ならではの個性・目新しさがあんまり感じられないなーと思いました。
 あと、登場人物の会話にノリツッコミが多すぎるのと地の文でツッコミ入れたり文章が崩れすぎるのが引っ掛かりました。そのせいで、全体的に締まりに欠けるなぁと。キャラの行動にもわりと突っ込みどころが多いような(生徒会の面々はそれでいいのか、とか)。
 主人公を含む幼馴染み4人の立ち位置の変化に関しては、2巻以降でどのように絡み、対立し、変化していくのかなというのは気になるところではありました。

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「天鏡のアルデラミン―ねじ巻き精霊戦記」

■感想メモ。
「天鏡のアルデラミン―ねじ巻き精霊戦記」(宇野朴人・電撃文庫)
天鏡のアルデラミン―ねじ巻き精霊戦記 (電撃文庫 う 4-4)
  隣接するキオカ共和国と戦争状態にある大国、カトヴァーナ帝国。その一角に、とある事情で嫌々、高等士官試験を受験しようとしている、一人の少年がいた。彼の名はイクタ。
 戦争嫌いで怠け者で女好き。そんなイクタが、のちに名将とまで呼ばれる軍人になろうとは、誰も予想していなかった……。
 戦乱渦巻く世界を、卓越した才で生き抜くイクタ。その波瀾万丈の半生を描く、壮大なファンタジー戦記、いよいよ開幕!

 シリーズ第1弾。
 「怠け者の少年がのちの名将に」という帯の文句で既にわくわく。「怠け者だが怠けるための苦労は厭わない」主人公の姿勢は面白いです。そんな彼の言動や作戦に周囲が振り回されるのも見ていて楽しい。後半の演習なんて、嫌な性格のキャラが相手なので溜飲が下がりますね。テンポよく進んでいって、最後の最後、皇女様の爆弾発言で次回へ引くのも実に上手いなと思いました。いったいどうやって、目的を実現させるのか。過程をじっくり見せてくれたらいいなーと思いつつ。
 主人公の周囲のキャラは個性はまだそんなに濃くは無いものの、役割分担出来てるのがいい感じ。でも個人的には不倫相手の娘であるスーヤ一押しです。怒ったり戸惑ったりしてる姿がとても可愛い。

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「<赤の女王>候補生 退学はロマンスのはじまり!?」

■感想メモ。
「<赤の女王>候補生 退学はロマンスのはじまり!?」(響野夏菜・一迅社文庫アイリス)
〈赤の女王〉候補生 退学はロマンスのはじまり!? (一迅社文庫アイリス)
 女性召喚士の最高位“赤の女王”の候補生として、精霊召喚の学院にむりやり入れられてしまったマージュ。だが、女子生徒は百年ぶりだという学院は男だらけ!学院をやめたいマージュは、“黒の王”の後継者として学院に君臨する問題児・エヴァンをたずねる。彼に退学になる手伝いを頼んだはずが、話を聞いたエヴァンは、突然キスしてきて…!?退学になるには「不純異性交遊」しなきゃならない!?精霊学院×ラブファンタジー。
 
 逆ハーレムとしてはほどほどのバランス(ヒロインとの未来を語られているキャラがいるため)、男性陣は生徒から先生までなかなかに良いキャラが揃っています(特にどこかすっとぼけた風な先生が好みでした)が、肝心のヒロインがどうにも苦手。良く言えば元気、悪く言えば煩く、自分からトラブルに突っ込んでいく自爆型。もう少し、一呼吸置いて考えを巡らせていれば、回避できた事態も多かったはず。
 後半もばたついていたなぁという印象が強かったです。ちょっと読んでいて疲れました。

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「パンツブレイカーG」

■感想メモ。
「パンツブレイカーG」(神尾丈治・一迅社文庫)
パンツブレイカーG (一迅社文庫) 
 影那を狙った敵対組織の襲撃を“パンツブレイカー”の秘められた力を解放し阻止した正幸。学園に平穏を取り戻したかに思えたが、正幸に敵意を剥き出しにする少女・野田雨音が現れる。そんなおり、“パンツブレイカー”の研究のため、影那が南の島での実験を兼ねた旅行に誘ってきて…。

 シリーズ第2弾。
 相変わらず、主人公の馬鹿馬鹿しい(良い意味で)能力と真面目に向き合っている姿勢に好感が持てます。さすがに1巻ほどのインパクトはありませんでしたが、安心して読める作り。ぱっと見だと役に立たないような能力でも、上手に活かされているのがいいなぁと思います。
 新キャラ2人については、それよりも既存のキャラをもっと掘り下げて欲しいなとか、キャラ増やし過ぎると扱いきれなくなるのでは?などと思ったりもしました。主人公兄妹の良さは言わずもがなですが、今回は特にサンダーが可愛かった!
 続くならこのノリを突き進んで欲しいですが、続刊出るんでしょうか……?

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「災獣たちの楽土3 蒼海の祈り」

■感想メモ。
「災獣たちの楽土3 蒼海の祈り」(尾白未果・C★NOVELS FANTASIA)
災獣たちの楽土3 - 蒼海の祈り (C・NOVELSファンタジア)
 災獣と呼ばれる巨大な「力」と、人はいかに向き合うのか。龍神が大陸を五つに割り、それぞれの島に守護神としての災獣を配したのは、人と災獣が共に歩む姿を見たかったからかもしれない。神槌・薙古・環天の三国が落ち着きをみせた頃、芳巻之国の災獣・風鳥は己の立場に憤り大暴れをしていた。そこへ律花之国の国主一族の姫が、芳巻国主の側妃として嫁ぐこととなった、が。―律花の姫は婚儀にカケラほどの興味もなく―。

 シリーズ完結。
 前半~中盤までの、末姫と国主の恋愛や、職人たちとの関わり合いは良かったものの、後半にかけて1・2巻主人公が出張ってきて、一気に3巻主役カップルの影が薄くなってしまいました。そしてスーパー災獣大戦へ……。シリーズをまとめるためとはいえ、3巻のキャラたちをもっと丁寧に書ききって欲しかったなぁというのが正直なところ。インパクト的には2巻主人公の依守也がずば抜けていて、彼が出ると他が霞んでしまうのはしょうがないという面もあるのですが……。同レーベルの「RINGADAWN」シリーズも前主人公たちに完結巻の主人公たちが食われるというところは似てるなぁと思ったり。
 でも、1・2巻のキャラたちのその後が見られたのは良かったし、シリーズの着地点としては良かったんじゃないかなと思いました。

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「新月が昇るまで3 夜明けの黒蛇」

■感想メモ。
「新月が昇るまで3 夜明けの黒蛇」(諸口正巳・C★NOVELS FANTASIA)
新月が昇るまで3 - 夜明けの黒蛇 (C・NOVELSファンタジア)
 信じていた相棒ニムが悪魔と知り、衝撃と同時に、二人を結びつけていた強い友情に気づき動揺するジグ。一方ニムは、狂王の子を身ごもったシヴルの願いを受け、魔王たちの住む“夜明けの館”へと単身乗り込んでゆくのだった。シヴルを縛る悪魔を殺すために、そして、自らの過去と向かい合うために―二人と、狂王、さらには王国ヴァロドニア全体の運命が大きく動き出してゆく…人と神と悪魔の物語、大転換。

 シリーズ第3弾。
 今回はニムとヘルムトが物語の中心。悪魔やら神やらの背景や事情が明かされたり、ジグとアッシュールの邂逅、<濡れ羽色の騎士>についてなどなど…最終巻に向けて色々動いたなーと。「ポロリもあるよ!」で文字通りポロっといってしまった人とか、血なまぐさい展開の中、ヘルムトとシヴル(ルシアナ)の仲の進展はにやにやできる数少ない癒しではありましたが、その反面、どんな突き落としが待っているのかいないのか、不安で仕方ありません。素直にハッピーエンドにはならなそうで……。
 いったいどういう結末を迎えるのか、最終巻も楽しみです。

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「森の魔獣に花束を」

■感想メモ。
「森の魔獣に花束を」(小木君人・ガガガ文庫)
森の魔獣に花束を (ガガガ文庫)
 剣と魔法が大きな力として存在する世界。クレヲは絵を描くことだけを生きがいに孤独な日々を過ごしていた。だが、名家に生まれた彼は、跡継ぎになるための試練の旅に出なければならなくなる。禁断の森へ踏み込み、そこで半人半植物の魔獣の少女と出逢う。あっけなく捕まったクレヲは、なんとか気を惹いて助けてもらうが、代わりにペット同然に拘束されてしまった。こうして始まった奇妙な共同生活だったが、クレヲはいつしか安らぎを覚えていく。しかし平穏な日々は長く続かなかった……。人と魔獣の恋を描いた心温まる異色ファンタジー。

 森の中で住んでいた魔獣の少女と、絵を描くことだけが取り柄の気弱な少年が出会い、恋をする…というシンプルなストーリーではありますが、少女の方は人間を餌とするモンスターであること、少年には家出のごたごたがあること、そして少女にアドバイスをする”ホンノー”の存在が、いい味付けになっているなぁと感じました。
 結局何だかんだあっても、最終的には森を出るんだろうな…とか思っていたので、終盤の展開は少し意表を突かれました。ふたりのその後と、国やクレヲの実家のその後の対比が、やや黒かったり苦かったりものを感じさせるものだったのが、個人的には良かったです。

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「八丈島と、魔女の夏」

■感想メモ。
「八丈島と、魔女の夏」(小椋正雪・一迅社文庫)
八丈島と、魔女の夏 (一迅社文庫)
 両親の長期出張で俺が預けられた先は八丈島?!しかも、俺を預かってくれることになった親父の親友は本物の魔女?!島に住む少女、真奈との出逢い。そして八丈島の穏やかな生活と魔女エーファのまわりでおこる不思議な事件。俺のわりと波瀾万丈な八丈島生活がここに始まる!

 第1回キネティックノベル大賞佳作受賞作。
 ほのぼのとした日常もの+ちょっと不思議要素。派手な事件もあまり起こらず、のんびりした雰囲気の作品。
 主人公とヒロイン、魔女はいいとして、クラスメイト女子3人は頭数をそろえるためにいるようで、ちょっと個性が足りない感じ。
 全体的に盛り上がりには欠け、何だか伏線めいたものはちらほらあるのに、ほとんど回収されず。ラストも結構投げっぱなしな感じがしました。続編があるのかもしれませんが、1冊完結として見ると物足りないものがありました。

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