「グッドナイト×レイヴン」

■感想メモ。
「グッドナイト×レイヴン」(深沢仁・このライトノベルがすごい!文庫)
グッドナイト×レイヴン (このライトノベルがすごい! 文庫)
 息をするようにスリを行う無気力少年・鈴人。女装癖のある美少年・遊。スピード狂の無口美少女・倉日。知り合いですらなかった3人だが、怪しい男・ワタリヤにはめられ急ごしらえの怪盗チームとなる。一回7万円、実働時間は1時間以下。微妙にイリーガルな匂いのする報酬とスリルに釣られ、盗みを重ねるうちに相性最悪だった3人の距離も近づいていくが、同時に不可解な盗みに隠された意味にも気づきはじめ…。

 あらすじから、もう少しスリル溢れる犯罪行為のようなものを想像していたのですが、思いのほか(誰かに見咎められることがないという点において)安全なお仕事。淡々とした文章も相まって、緊張感はあまりありませんでした。作中の言葉を借りれば「ファンタジック」な設定も、その一因になっているのかも。全体的にさくさくとした話運びでした。
 主役3人の掘り下げもそこそこ、ワタリヤの過去やその他触れられても浅いため、1冊かけてのプロローグのような印象。次があるなら、3人の家族とかももっと見てみたいなぁと思いました。この1冊ではまだ物足りない感じ。

肷

「オカルトリック02」

■感想メモ。
「オカルトリック02」(大間九郎・このライトノベルがすごい!文庫)
オカルトリック 02 (このライトノベルがすごい! 文庫)
 元狐憑きの探偵助手・玉藻と、超絶美女の引きこもり探偵・ねえさん、向上心溢れるメンヘラ・イソラちゃん(キーワードは女子力! )。ギリギリのバランスを保っていた三角関係は、意識不明だったイソラの姉・舞花の目覚めと共に、次のステージに移行する――過剰で真摯な愛情が織りなす、混沌とした関係はどこへ向かうのか!? オカルト? マジック? ファンタジー? 夢と現実と過去が絡み合う、未だかつてない物語をご堪能あれ!

 シリーズ第2弾。
 もはやストーリーとか推理とかトリックとか真相も瑣末と言うかオマケと言うかわりとどうでもいいような扱いになっていて、その分、イソラの病みっぷりとか玉藻とねえさんの愛や愛や愛に溢れ切っています。オマケ部分に突っ込みを入れるのは、無粋なのかもしれません。
 読んでいて良く分からないシーン・脇キャラも多いですが、最終的な着地点は綺麗に収まっている不思議。
 不思議で不条理なんだけど、愛に溢れている。読んでると頭がグルグルしてくる作品でした。

肷

「千の魔剣と盾の乙女8」

■感想メモ。
「千の魔剣と盾の乙女8」(川口士・一迅社文庫)
千の魔剣と盾の乙女8 (一迅社文庫)
 エリシアやナギの姿を見て、自分が置いていかれつつあると焦るフィル。そんなフィルの頼みで、伝説の武器の「タスラム」を探すことになったロックたちは、意外な人物との再会を果たす。その頃、大陸の魔物たちも封印された魔王を復活させるため動きが始めていた。大人気魔剣ファンタジー急展開の第8弾!

 シリーズ第8弾。
 パーティメンバー順番にパワーアップエピソードをこなしていって、今回はフィルの番。なのですが、ホルプのあれやこれ(帯のネタバレが酷い…そして序盤のフラグをしっかり回収)の方がインパクトあって霞んでしまいがちなのが残念。妙にゲームっぽいギミックの神殿や、試練などもありますが、淡々と消化されて行くのであまり危機感はなかったです。
 新キャラをむやみやたらと増やさなかったのは好印象……ですが、ここにきてパーティメンバー=ハーレム要員が増えるとは。その辺収拾就くのかなぁとどうしても思ってしまうのでした。いったい何人を嫁にするつもりなんでしょうか。

肷

「プリンシアの花姫 雪の伯爵と氷の伯爵」

■感想メモ。
「プリンシアの花姫 雪の伯爵と氷の伯爵」(沢城利穂・一迅社文庫アイリス)
プリンシアの花姫 雪の伯爵と氷の伯爵 (一迅社文庫アイリス)
 妖精王と人間の間に生まれたフローリアは、感情がたかぶると花を出現させてしまう特異体質の持ち主。
妖精界の危機を救うため《ピンククリスタル》を探しに冬の国を訪れた彼女は、伯爵家の兄弟にその力を知られ屋敷に囚われてしまう。伯爵家が所有するクリスタルを譲ってもらうかわりに、毎日大量の花を捧げることになるけれど、彼らにはとんでもない秘密があって――!? 
花の乙女と伯爵家の兄弟が織りなすラブファンタジー!

 妖精界の危機の割にはあまり切羽詰まったような雰囲気ではなく、ピンククリスタルはあっさり見つかり、そこから堂々巡りで話が進まなくなってしまった感。話を進めるのがほぼ、ヒロインのお付きの妖精のうっかりミス。彼女が付いてこなかったらもうちょっとすんなり話が運んでいたのでは?と思ってしまいます。
 花を出現させるヒロインと、花を必要とする兄弟、という関係性は良いのですが、その設定ありきで描写不足を感じることもしばしば。特に兄の方が恋愛感情に至ったのがいつなのか分からない。いっそのこと弟は単なる邪魔役(恋愛関係なし)に留めておけばよかったんじゃないかなーと、最後の決断の場面を見て思ったりしました。

肷