「灰かぶり姫と吸血鬼~ブラッディ・ガーネットの少年伯~」

■感想メモ。
「灰かぶり姫と吸血鬼~ブラッディ・ガーネットの少年伯~」(かたやま和華・一迅社文庫アイリス)
灰かぶり姫と吸血鬼~ブラッディ・ガーネットの少年伯~ (一迅社文庫アイリス)
 宝石商の娘だったメルディは、伯母に家屋敷を乗っ取られ、吸血鬼一族が住むと噂される不気味なガーネット城へ奉公に出されてしまう。しかし、そこで待っていたのは、麗しく成長した初恋の美青年!…と思いきや、目覚めた時に隣にいたのは生意気な美少年!?「お前こそが、オレの唯一無二の…晩餐なのだ」あなたが欲しいのは私?それとも私の血?花嫁と書いて晩餐ってどういうこと…!?―。

 不幸な身の上であるはずのヒロインが天然と言うには度を越したポジティブさで、感情移入しにくかったです。せっかく、いじわるな伯母と従姉にルルーを会わせる機会があったのに実現せず、彼女らをぎゃふんと言わせて溜飲を下げるようなことができずに実に残念。まぁ、メルディ本人にとっては瑣末なことなのかもしれませんが…(ポジティブなので)。
 あと気になったのは、忠誠がどうのと言う割には本人が出てこないのでいまひとつ説得力に欠ける女王様と、存在が宙ぶらりんな気がしたエテルロットでしょうか。細かい部分まで手が回ってないように感じられました。
 個人的に好みだったのはルルーの兄ノア。男前でけじめの付け方もいいのに、将来の夢はあれで良かったのか…と思わないでもないですが。

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「ささら咲く―化生国牡丹花伝―」

■感想メモ。
「ささら咲く―化生国牡丹花伝―」(紫月恵理・一迅社文庫アイリス)
ささら咲く-化生国牡丹花伝- (一迅社文庫アイリス)
 動植物や物の化身で人外の力を持つ者、化生。牡丹化生に守護される加賀見国の美貌の国主由峰の秘密は女であること、そして守役である半化生の青年・高遠に恋していることだった。ところが、隣国の国主の子息・雅季に女だと知られ、黙っているかわりに彼と秘密裏に結婚することを強要されてしまい―!?男装の女当主と烈しい想いを秘めた半化生の守役、隣国の野心家の青年。守るべきは国か許されぬ想いなのか?和風花恋絵巻登場。

 淡々とした話運びで、着地点も予想しやすいだけに、意外性がなかったのは残念。主人公たちは現状を打破しようと努力はするのですが、結局のところ大化生である涼風の心持ひとつであるので、何だか肩すかし。化生などの設定も曖昧さがあり、この国はよく今まで成り立ってきたものだなぁと思ってしまう部分も。もうちょっと恋愛成分的な華やかさでもあればよかったのですが……。

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「オカルトリック」

■感想メモ。
「オカルトリック」(大間九郎・このライトノベルがすごい!文庫)
オカルトリック (このライトノベルがすごい! 文庫)
 狐憑きの少年・玉藻と、超絶美女でヒッキーな探偵・ねえさんの、奇妙でふざけた、そして真摯なオカルト事件簿。自然発火、物の怪憑き、チュパカブラ……次々に起こる事件を通して描き出されるものは何か? オカルト×トリック×カラクリ=人間の幸福って、どんな物語だよ! 第1回『このライトノベルがすごい! 』大賞・栗山千明賞受賞の衝撃作『ファンダ・メンダ・マウス』の大間九郎の新シリーズ開幕です!!

 最初はキャラの掛け合いやら事件の調査内容やら真相ばらしやら、ぐだぐだ気味かなぁと思いましたが、次第に背景が明らかになって行くと、不思議としっくりきているように感じられました。オカルトとか推理とか、そういう方向よりも、キャラの個性で引っ張って行く作品のような印象。玉藻と葛乃葉の関係は好きですね。最初はどんな変態だ、と思ったりしたのに……(笑)。きちんと理由の描写があるところが良かった。
 それにしてもイソラという要素がいったいどんな事件を巻き起こすのか。ラストの引きが不安すぎます……。

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「禁書庫の六使徒」

■感想メモ。
「禁書庫の六使徒」(栗原ちひろ・F-Clan文庫)
禁書庫の六使徒 (f-Clan文庫)
 世界中の呪いが集まる百塔街。魔界の血を引くアレシュが結成した、街を守る「深淵の六使徒」は、突如空いた大穴の解明に乗り出す。そこへ、魔界の紳士がメイドのハナを迎えに現れた。アレシュの目前で婚約者だという彼の手を取り、去ってしまったハナ。茫然自失で寝台の中へ引きこもるアレシュだったが、ハナの悲しい本音を知って、彼女を取り戻そうと魔界へ乗り込むことに―。

 シリーズ第2弾。今回はハナちゃん回。
 ……なのですが、クレメンテが卑怯なくらいインパクトありすぎて……。あれ、こんなキャラだったっけ?(笑)どうみてもギャグキャラのような扱い(しかも結構便利)で吹いてしまいました。
 アレシュとハナちゃんの関係はとても好みで、にやにやできました。アレシュのダメっぷりと、ハナちゃんの毒舌ツンデレっぷりが実にいいですね。他のキャラは少し影が薄めだったような。次以降の巻があるならば、もっとスポットが当たればいいなぁと思います。

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「人生 第2章」

■感想メモ。
「人生 第2章」(川岸殴魚・ガガガ文庫)
人生 第2章 (ガガガ文庫)
 夏。第二新聞部の赤松勇樹は、部長の二階堂彩香から、人生相談コーナーのメンバーで合宿に行くよう命じられる。しかたなく理系担当の梨乃、文系担当のふみ、体育会系担当のいくみの三人にメールで打診するも、三者三様に断られてしまう。しかし彩香は、第一新聞部の活動に対抗しているようで、夏の海をあきらめない…。友情、貸金、盗用、性欲、勝負のこと。第二新聞部の新コーナーは大反響!みんなの相談に答えるのは、志乃、くみ、よしたかの三人…って、オマエラ誰だよ!?超☆感覚・人生相談2回目!行くの?合宿。

 シリーズ第2弾。
 合宿に本当に行くとは……(笑)。
 1巻同様のゆるい雰囲気でしたが、女の子たちが可愛いのはいいことです。ところどころ笑えるポイントもあり。怪しい民宿のくだりは前作のノリを彷彿とさせました。ライバルに関してはくどいかなぁと思ったものの、今回きりのネタ……ですよね? 対決時のなりふり構わなさは個人的にツボでした。

肷

「上海恋茶館 待ちぼうけのダージリン」

■感想メモ。
「上海恋茶館 待ちぼうけのダージリン」(青木祐子・コバルト文庫)
上海恋茶館 待ちぼうけのダージリン (コバルト文庫)
 二十世紀初頭、上海租界の英国人屋敷。両親が行方不明になって半年。十六歳のリリアは保護者のフェイに支えられながら、愛する紅茶を淹れる日々を過ごす。ある日、従兄弟のライオネルが、母国への帰国と結婚を迫ってきた。その目的は、ミルドレッド家の莫大な財産。その頃、家出同然に上海港に辿りついた日本人青年・楠木龍之介がいた。彼はリリアの恋人役を引き受けることになるが…。

 シリーズ第1弾。
 時代と舞台の雰囲気がなかなか良いなぁと思いました。
 登場人物の中では群を抜いたダメっぷりを終始発揮するライオネルが特に気になりました。他の人物たちが世慣れている中であの世間知らずさではさもありなん……という感じでしたが。ひたすら転がされている悲惨さ。面白いキャラでしたけど、再登場はないかな……? ヒロインのリリアはただ求婚をかわしたいだけのお嬢様ではなかったところに意外性があってよかったですね。龍之介の方も一筋縄ではいかなさそうなところがリリアと釣り合いが取れてますね。
 全体としてみると派手さには欠けるお話でしたが、この先どう展開していくのかは気になるところです。

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「俺がお嬢様学校に「庶民サンプル」として拉致られた件2」

■感想メモ。
「俺がお嬢様学校に「庶民サンプル」として拉致られた件2」(七月隆文・一迅社文庫)
俺がお嬢様学校に「庶民サンプル」として拉致られた件2 (一迅社文庫)
 お嬢様にモテモテ生活&庶民部の活動はさらに加速。ツンピュア愛佳の次なるぼっち脱出作戦、白亜と過ごす何気ない休日、麗子の女子会、可憐さんの太ももなどなど、全26話+α、ノンストップ&おまけページも充実でおおくりする超人気ハートフル学園ラブコメ第2弾。

 シリーズ第2弾。
 メインのストーリーがあるようなないような、部活である必要性もあるようなないような、そんな軽い話をさくっと読める感じになってます。
 白亜との絡みはほのぼのするし、相変わらずモブお嬢様たちは可愛いなぁと思うものの、個人的には可憐が浮いてしまっているように思われました。女子会のくだりは好きで、ぶっちゃけ主人公いない方が面白いんでは?などと思ってしまう部分も……。ラストのメイドさんのインパクトも良かったです。しかし、愛佳の脱ぼっち作戦はワンパターン化(ぼっち脱出→失敗)しないかどうかとネタ切れが不安点。

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「カナクのキセキ4」

■感想メモ。
「カナクのキセキ4」(上総朋大・富士見ファンタジア文庫)
カナクのキセキ4 (富士見ファンタジア文庫)
 (ううう、ユーリエ、ゆーりえぇ…)アレンシア全土から流れ込んでくる黒夢に意識を刈り取られそうになるたび、カナクは最愛の人を想い、ひたすらに耐えた。あとどれだけ黒夢を集めれば、ユーリエのもとに飛べるのか?その傍らには、ユーリエの心を継いだ夢魔が傳いている。「魔王さま、今は焦らずに黒夢を集めることに専念して下さい」苦しむ若き魔王を、リーゼは言葉少なに見守った。一方、オリヴィアは各国の王と連携を取り、銀獣人の少年ライカを影砲士へと鍛え始める。そしてカナクと世界の両方を救いたいネウは、手がかりを求めてミスティカの大図書館を目指したが―。

 シリーズ第4弾。
 3巻まで表と裏、ふたりの人物の視点固定だったのが変化していて、おおまかなあらすじをなぞるようだったストーリーが、少し掘り下げられていたかな、と感じられました。ただキャラの動き(心情変化など)が大雑把な感じがするのはあんまり変わらないかなーと。カナク側とオリヴィエ側は惹きつけられる部分もあったものの、ネウたちの方が冗長な気も……。やたらばたばたしてるなぁというのが一番の印象でした。

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「夢の上 サウガ城の六騎将」

■感想メモ。
「夢の上 サウガ城の六騎将」(多崎礼・C★NOVELS FANTASIA)
夢の上 - サウガ城の六騎将 (C・NOVELSファンタジア)
 サマーアにアライスという「光」が現れ、人々は希望を取り戻す。だが、「光」を未だ目にすることのなかった時代、「光」が己の輝きの萌芽に気づく前、その姿はどう映っていたのだろう。混沌とする「未来」を決して諦めなかった者たちがいた。彼ら六人は時にアライスを支え見守り、救国軍の礎となる。そのケナファ騎士団の六士隊長の軌跡を追った連作短編集。

 全4巻で完結したシリーズの短編集。ケナファ騎士団の6人の士隊長を主人公とした連作短編で、物語の聴き手となっているキャラが次の短編の語り手になる…という形式になっています。
 実のところ、彼らは本編では脇役であり、程度の差はあれど、個人的にはそんなに馴染みのないキャラクターではありました。しかしながら、読み進めるうちにどんどん惹きこまれて行きました。切ない話あり、ほっこりする話しあり、でとても楽しめました。どの話も良かったんですけども、ラストのアーディン(正確には彼の両親に纏わる話)の短編は、本編を読み返したらまた違った印象を抱きそうで、何とも言えない気持ちになりました。
 次回作も楽しみにしています…なのですが、刊行予定は来年の春ということで、気長に待つことになりそうです。

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