「博物戦艦アンヴェイル2  ケーマの白骨宮殿」

■感想メモ。
「博物戦艦アンヴェイル2  ケーマの白骨宮殿」(小川一水・朝日ノベルズ)
博物戦艦アンヴェイル2 ケーマの白骨宮殿 (朝日ノベルズ)
 「アンヴェイル号の再建のために、快速の秘訣を教わってきてちょうだい」―長い旅を終えて王港に帰りついた少女騎士ティセルと道化のジャムは、王妃から新たな命令を授けられた。不気味な書庫船の番人たちが待ちかまえる。いっぽう青年艦長アルセーノは、宿敵を前に剣を抜き、大切な人が誰なのかを知る。困難を乗り越えた一行は伝説の白骨宮殿を求め、再び海に出た。

 シリーズ第2弾。
 サブタイトルの白骨宮殿へ赴くまでの話がやや長めでしたが、ジャム&ティセル、アルセーノ&グレシアの2組のカップルの描写がたっぷりあったのでにやにや分を補充してたいへん満足です。ジャムとティセルは二人きりになる隙をついてはいちゃいちゃしようとするのが微笑ましいというか何と言うか。「右手は(剣を握るので)だめだけど左手は繋いで欲しい」くだりが可愛らしくって好きです。
 白骨宮殿をめぐる冒険も見ものですが、個人的には王妃様が思った以上に一筋縄ではいかなさそうな人だったりとか、”魔法”の存在だったりとかの方が強く印象に残りました。ラストは波乱の前触れ的な引きでしたけど、次巻は再びほのぼのできるようになっていればいいなぁ。
 

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「タワー・ドールズ 赤き神子の恋と冒険」

■感想メモ。
「タワー・ドールズ 赤き神子の恋と冒険」(柘植めぐみ・朝日ノベルズ)
タワー・ドールズ (朝日ノベルズ)
 ジョーは常人より優れた身体能力と、男でも女でもない中性の体をもつ“神子”。神子には“塔”に巣くう魔物たちを滅ぼし、そこに隠されている新たな技術を手に入れる使命があり、ジョーもまたその役目に忠実な1人だった。しかし、町で出会った青年ゲランとの触れ合いをきっかけに、ジョーの運命は大きく変わる―。揺れる恋心と冒険が交差する異世界ファンタジー、開幕。

 冒険よりも恋愛成分多め。ジョーは中性という設定ですが、ゲランを想って乱れる心を見ている限りでは女の子にしか見えないのですよね。個人的には、ゲランがジョーを好きになる過程が少し伝わりにくかったかなぁと思います。幼馴染も良い子なのに不憫……。彼女がその後幸せになっていればいいなぁ。
 1冊で2人の物語は綺麗に畳まれていますが、塔や神子については書ききれていないような。もし続きがあるのなら、また別の神子の話が読んでみたいです。

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「博物戦艦アンヴェイル」

■感想メモ。
「博物戦艦アンヴェイル」(小川一水・朝日ノベルズ)
博物戦艦アンヴェイル (朝日ノベルズ)
 強大な島国ラングラフの国王は、この世界に残るさまざまな怪異を探るために、海軍の大型帆船を就航させた。一方で、少女騎士ティセルはある使命を受けた。若き探検隊員の護衛である。この少年は、特異な語学力と天真爛漫な性格から、この探検隊には不可欠の人物なのだ。一見頼りない青年船長、反乱の
隙をうかがう、荒くれの水兵たちとともに、いよいよ出航の日が来た。

 シリーズ第一弾。
 何だか普通にボーイ・ミーツ・ガールな冒険(帆船)もので、前に読んだ「天冥の標」とのギャップに多少戸惑いました(笑)。
 作者の趣味全開、ということで帆船+少女騎士。王様の趣味は作者の代弁なのでは等と思いつつ……。海の上で騎士をどう活躍させるんだろう?と疑問もありましたが、ティセルにきちんと見せ場があって良かったです。戦っている姿よりも、普通の女の子らしく悩んだりしているのが可愛くて。婿取り合戦には笑いました。この先はまたライバルたちと争いつつの冒険になるのでしょうか。三角関係にもなりそうな恋の行方は、あんまりこじれないで欲しいなぁと思いますが。
 

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「不全世界の創造手(アーキテクト)」

■今日読んだ本メモ。
「不全世界の創造手(アーキテクト)」(小川一水・朝日ノベルズ)
不全世界の創造手(アーキテクト) (朝日ノベルズ)
 物作りを愛する少年・祐機の夢は、自分で自分を複製するフォン・ノイマン・マシンの実現。地方都市で才能をもてあます彼の前に天才投資家の娘・ジスレーヌが現れた。「あなたの力と未来に投資させて」。――2人は強力なマシンと資金を武器にして、世界生産を支配する国際組織「GAWP」に立ち向かう。

 小さな工場で物作りをしていた少年が、行動範囲を徐々に世界へと広げて行き、大きな組織を向こうに回しても歩みを止めず、自分の思い描いた世界へ変えていこうと奮闘する姿は、読んでいて爽快でした。
 物作りのことしか頭にない不器用な祐機と、投資は上手でもやっぱりどこか不器用なところのあるジスレーヌの2人もいいですが、合間合間でちゃっかり活躍してしまう大夜の存在が大きいなぁと思いました。そもそもは祐機にくっついてきてふらふら遊び歩いてただけなのに、彼なしではこの物語が成立しないところが凄い。
 欲を言えば、ラストに彼らのその後がもっと読みたかったなと。綺麗に終わってはいるのですが、少し物足りなく感じられてしまいました。祐機の行動で、あの子馬たちの存在で、どのくらい世界が変わったのか。それがとても気になりました。

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「クロノス・ジョウンターの伝説∞インフィニティ」

■今日読んだ本メモ。
「クロノス・ジョウンターの伝説∞インフィニティ」(梶尾真治・朝日ソノラマ)
クロノス・ジョウンターの伝説∞インフィニティクロノス・ジョウンターの伝説∞インフィニティ
 何度目かの文庫化。私は以前のソノラマ文庫の分を読んでいるのですが、やはり好きな作品なので今回の分も購入しました。ソノラマ文庫版に収録されていた3話に加え、雑誌掲載や舞台原作の2話、そして書き下ろしが1話の計6話が収録されています(ソノラマ文庫版にあった<外伝>は未収録)。
 過去に飛べるがその反動で遥か未来に飛ばされてしまうタイムマシン、クロノス・ジョウンター。二度と現代に帰れないと分かっていても、愛する人を救うため、過去に飛ぶ人々とその数奇な運命を描いた短編集です。
 今回の本は、ソノラマ文庫版よりも短編同士のリンクが強化されてるなと感じました。一番最後の書き下ろしの主人公が、これまでの短編でちょこちょこと出ていた人物だったのが感慨深いです。
 話の中で、少しずつ改良されていくクロノス・ジョウンター。初期にこの性能があったならあの人はどうなっただろうか?と後半になるにつれ、思わずにはいられませんでした。

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「ピニェルの振り子 銀河博物誌1」

■今日読んだ本メモ。
「ピニェルの振り子 銀河博物誌1」(野尻抱介・ソノラマ文庫)
ピニェルの振り子 銀河博物誌1ピニェルの振り子 銀河博物誌1
 採集人の少年スタンは、親方の代わりにペラム蝶の売り込みに出かけた際に出会った、画工の少女モニカに一目惚れ。彼女が無理矢理働かされていると思い込んだスタンは、交易船にこっそり乗り込んでしまう。見つかれば船外=宇宙へ遺棄される厳しい処分が待っている。スタンの命がけの冒険が始まった!
 十七~十九世紀の人類数十万人が何者かの手により別の星系に運ばれ、そこで生活を営むことになった……という設定が面白いですね。写真機もない文明なのに、不可思議な物質がもたらした星間航行技術はある、というアンバランスさに惹かれました。
 序盤の小さな伏線を積み上げて、ラストで綺麗に収束しているのも良いのですが、クールなモニカと彼女の無機質さに引っかかりを感じながらもやっぱり好きであることをやめられないスタンのふたりが微笑ましくて。ただ、シリーズ1冊目で続きが出てないことが残念でなりません。

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「イカロスの誕生日」

■今日読んだ本メモ。
「イカロスの誕生日」(小川一水・ソノラマ文庫)
イカロスの誕生日イカロスの誕生日
 翼を持つ人間・イカロスの一人である自在はるかは気ままな生活を送っていた。しかしそれはイカロスを不穏分子と見なし規制する法律の制定により激変する。追われたイカロスたちは立ち上がるが、事態は思わぬ方向へ――。
 空を飛ぶことの出来る人間を「イカロス」と呼ぶのは皮肉だろうなぁとまず思いました。話は主にイカロスたちとその協力者の視点で進みますが、普通の人間(それも政治家とかでなく一般の人)の感じ方ももっと見たかったなーと。級友とかもいいキャラだったのに出番少なくて残念。
 空を飛ぶ翼を持つのは何のためか。単なる人間VSイカロスの構図ではなく、さらにその先が示されていたのは良かったです。どうでもいいことですが、高所恐怖症の人がいきなりイカロスになったりしないんでしょうか……(笑)。

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「スター・ハンドラー(下)」

■今日読んだ本メモ。
「スター・ハンドラー(下)」(草上仁・ソノラマ文庫)
スター・ハンドラー(下)スター・ハンドラー(下)
 シリーズ1作目の下巻。
 上巻を読んだのがかなり前で(サイトのログで確認したら、少なくとも3年以上は前でした)、すっかり話を忘れてしまってました。このキャラなんだっけなーと記憶もかなり曖昧だったので、また上巻から読み返したほうが良さそうです。
 色んな思惑を持った登場人物たちが、微妙にずれた言動をしつつ、ぶつかり合う。コメディしながらも話がきちっとまとまっているのは良かったです。演芸艦隊がかなり素敵でした(笑)。でも思ったより活躍少なめだったのは残念。

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「ハイウイング・ストロール」

■今日読んだ本メモ。
「ハイウイング・ストロール」(小川一水・ソノラマ文庫)
ハイウイング・ストロールハイウイング・ストロール
 陸も海も重素雲で覆われてしまった地球。かつて高地だった「島」に住む人々は「浮獣」を狩って生活している――年上の「浮獣ハンター」ジェンカにスカウトされた15歳の少年リオの成長物語。
 空中戦にわくわくしながら読みました。基本的に前席と後席の2人組で狩をするのですが、2人が背中合わせで呼吸を読みあうという設定がかなりいいなぁと思いました。相手の細かい動きが背中越しに伝わって、そこから生まれる連携プレー。男同士はちょっとアレですが(笑)、異性同士だと絵になる感じです。そこから恋愛に発展するかどうかは当人次第みたいですけど……。
 個人的に年上ヒロインってあんまり好みではないのですが、この作品の場合、ジェンカが年上であることによってリオの成長ぶりが強調されていて良かったです。一番好きなのはジェンカのお母さんですが(笑)。
 しかし、世界の謎解きとか、最後のところがちょっとばたばたした感じになってたのは残念でした。

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