「六花の勇者2」

■感想メモ。
「六花の勇者2」(山形石雄・スーパーダッシュ文庫)
六花の勇者 2 (六花の勇者シリーズ) (集英社スーパーダッシュ文庫)
 「七人目」だったナッシェタニアは去ったが、ロロニアという少女が現れ、またもや七人になってしまった六花の勇者たち。魔神再起までのタイムリミットが迫っており、疑心暗鬼はぬぐえないまま、魔哭領の奥へと進む。するとそこへ一体の凶魔が現れ、モーラに「君には時間がない」と告げる。そらに凶魔を束ねる統率者の一体、テグネウが六花の勇者の前に突如現れる。それは「七人目」の関わる策略なのか!?混乱の中で激闘が始まる。

 シリーズ第2弾。
 「7人目」が誰だか分からない疑心暗鬼の中、少しの成長や、かすかな信頼・絆の芽生えが垣間見えます。そうやって築かれて行ったものが、「7人目」が明るみに出たことで一気に崩壊してしまわないか、はらはらしてしまいます。
 今回は冒頭でひとつの事件が描かれ、そこに至ることになった道筋を追っていくという形式。”勇者”の背景であったり、凶魔たちの勢力について触れられ、世界観が広がって行くのはなかなかに興味深かったです。ナッシェタニアもまた勇者たちの前に現れそうですし、今回も続きが気になる引きでした。

肷

「吟遊詩人に贈る歌」

■感想メモ。
「吟遊詩人に贈る歌」(佐々之青々・スーパーダッシュ文庫)
 吟遊詩人に贈る歌 (集英社スーパーダッシュ文庫)
 「世界で一番の吟遊詩人になって、必ず戻ってくる」十二歳のレントは、幼なじみのトルチにそう約束して街を出た。五年後、トルチに告げる言葉を胸に帰ってきたレントはしかし、再会する前に幽霊騒ぎに巻き込まれ、女警吏のテアに騒乱罪で捕らえられてしまう。テアに幽霊退治を押しつけられたレントは取調室でやってトルチと再会するも、告げる言葉を言えずにいるうちに今度はトルチを想う青年デリックから決闘を申し込まれ―悲劇の吟遊詩人と悲恋の騎士を生んだ街ルネスで、若き吟遊詩人と魔法人形が奏でるピュアファンタジー、開演。

 ファンタジー世界で吟遊詩人が主人公、というのは結構新鮮に感じました。
 歴史上の人物たちの伝承との差異とそれにまつわる謎が明かされる終盤は面白く、後年美化されてしまった彼らの「本当の姿」は切なさもあり、くすりと笑える部分もあり。彼ら自身の話も読んでみたかったと思えました。反面、現在の話となるといまひとつ盛り上がりに欠けるというか。主人公のヘタレっぷりもさることながら、ライバルキャラの言動が二転三転しすぎて他のキャラに真意を説明されてもちょっとしっくりこなかったです。

肷

「六花の勇者」

■感想メモ。
「六花の勇者」(山形石雄・スーパーダッシュ文庫)
六花の勇者 (集英社スーパーダッシュ文庫)
 闇の底から『魔神』が目覚めるとき、運命の神は六人の勇者を選び出し、世界を救う力を授ける。地上最強を自称する少年アドレットは、その六人、『六花の勇者』に選ばれ、魔神復活を阻止するため、戦いへ向かう。だが、約束の地に集った勇者は、なぜか七人いた。その直後、霧幻結界が作動し、七人全員が森に閉じ込められてしまう。七人のうち誰かひとりが敵であることに気づいた勇者たちは疑心暗鬼に陥る。そして、その嫌疑がまっさきにかかったのはアドレットで―。伝説に挑み、謎と戦う、圧倒的ファンタジー、堂々始動。

 シリーズ第1弾。
 6人のはずの勇者が7人。残る一人は裏切り者。加えて、そんな彼らが閉鎖空間に閉じ込められ、かつ主人公アドレッドが自らの嫌疑を晴らし7人目を特定するためボロボロになりながらも孤軍奮闘する様がたいへん面白かったです。他のキャラに比べれば凡人だけど、でも自称「地上最強」なアドレッドが口先だけの人物ではないところが好感が持てました。天才な他キャラたちについては、協調性に疑問符が付く人物もおり、”7人目”の件が無くても一筋縄ではいかなかったろうなぁと思ったり。
 ひと段落したラストの引きが凶悪。え、これどうなるの?と素直に続きが気になります。

肷

「少女と移動図書館」

■感想メモ。
「少女と移動図書館」(竹雀綾人・スーパーダッシュ文庫)
少女と移動図書館 (集英社スーパーダッシュ文庫)
 人類の姿が消えた未来の地球で、巨大図書館に一人ぼっちで暮らす司書の少女。いつか誰かが図書館にきて本を読んでくれる……そんな日を彼女はずっと待ち続けていた。しかしある日、彼女は「来てくれないのならこっちから探しに行こう」と決めた。大型の移動図書館車に本を大量に積み、まだ見ぬ人の姿を探して、広大な大陸へと旅立つ少女。行く先々で、図書館では得られなかった体験を重ね、旅を、年月を重ねていく。ツイッターに投稿された魅惑の小片集が文庫になってついに登場!!

 ネット書店でタイトルが気になって買ったものだったので、帯に「ツイッター小説」とあって「ん?」となりました。
 内容としては書下ろし部分は普通の短編ですが、本文は1話140字以内という短文連作といっていいような形。ツイッターで1年間1日1作以上呟き続けた……とあとがきにありましたが、ネタ切れで苦しそう、と思うような話もちらほら。節分だの雛祭りだの日本の季節行事ネタがその辺顕著だなぁと。たまにはっとさせられるような部分もあるものの、短すぎる話の繰り返しは平坦な部分も多くてやや退屈。題材や雰囲気は好みなので、普通の短編集で読んでみたかったです。

肷

「二年四組交換日記 腐ったリンゴはくさらない」

■感想メモ。
「二年四組交換日記 腐ったリンゴはくさらない」(朝田雅康・スーパーダッシュ文庫)
二年四組 交換日記 腐ったリンゴはくさらない (集英社スーパーダッシュ文庫)
 問題児ばかりで構成されたクラス、それが私立伯東高校二年四組だ。クラスのボスである委員長は強権を発動し「皆の心をひとつにする」ために交換日記を開始する。日記は誰が書いているのかもわからないようにされ、登場するクラスメイトも属性に基づく異名やその所属する派閥で表現される。日記では予想外の事件や秘めたる恋が描かれて…?

 第9回SD小説新人賞佳作受賞作。
 これはアイデアの勝利。
 2年4組の生徒35人は、はじめ交換日記では異名で書かれているのですが、徐々に本名も混ざって出されるようになって行きます。読みながら自然と、異名と本名を結び付け始めるのですが……。巻頭のカラーページにイラスト付で生徒一覧表が付いているのがとてもいいですね。読む前からワクワクさせてくれるし、名前当てをしたくなってきます。
 ただ、名前当てに夢中になると話を追いかけるのがおろそかになったり、ストーリーの方は後半が高校生の枠をはみ出し過ぎてしまっているのが気になりました。もうちょっとこじんまりとした範囲の話でも良かったかもしれません。
 それにしても、35人をきっちり描いた絵師さんは凄いと思います。

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「テルミー きみがやろうとしている事は」

■感想メモ。
「テルミー きみがやろうとしている事は」(滝川廉治・スーパーダッシュ文庫)
テルミー きみがやろうとしている事は (集英社スーパーダッシュ文庫)
 修学旅行での事故で失われたひとつのクラス。当日欠席したことで事故をまぬがれた少年・清隆は、ただひとりだけ生き残った少女・輝美が、亡くした恋人の遺品を持ち出したことに困惑する。問いかける清隆に輝美は、自分の中に亡くなったクライメイトたちの最期の願いが残されていることを伝える。少女はその想いをかなえようとしていたのだ。清隆は自分にも手伝わせてほしいと申し出るが…。悲劇から始まるやさしさの物語、読んでください。

 バスの事故で亡くなったクラスメイトたちの「最期の願い」を叶えていく少女と、それを手伝う少年の物語。
 この手の話に弱いので、あらすじだけで負けた気分。実際に読んでみるとボロボロに泣けるほどではないのだけど、ぐっときました。
 「最期の願い」は傍目には何気ない行為であったとしても、本人たちにとっては切実なもので。事故にさえ遭わなければ、彼らの日常は続いて行ったのだろうな……と思うと切なくて仕方が無かったです。中でも好きなエピソードは清隆の親友・孝司のもの。ともすれば笑い話で済まされそうなのに、それが却って哀しい。
 ただ、清隆と幼なじみの話はもっと長く読みたかったなぁと思ってしまいました。いい話なのにわりとあっさり……。
 まだ全員の願いを叶えていませんが、続刊が出るのなら、全部叶え終わるところまで見てみたいです。

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「GEAR戦士電童外伝―天空の乙女 蒼天の騎士」

■今日読んだ本メモ。
「GEAR戦士電童外伝―天空の乙女 蒼天の騎士」(吉野弘幸・スーパーダッシュ文庫)
GEAR戦士(ファイター) 電童外伝―天空の乙女(ベガ) 蒼天の騎士(アルテア) (集英社スーパーダッシュ文庫)
 アルクトス王家の嫡男、王子アルテアとその妹ベガ。碧い瞳と髪をもつ仲の良い兄妹は、星中の誇りと希望だった。王宮内は、故地巡礼から戻るアルテアを迎える準備に沸いていた。ところが帰還したのはお供の仔竜のみ…。しかもその首には王家の守護神凰牙を操る「ギアコマンダー」がかかっていた!?大好きな兄をさがすため、旅に出る決心をするベガだった…!!
 同タイトルアニメの外伝。主人公の片方の母であるベガ(織絵さん)が地球にくるまでのいきさつを描いたものですが、アニメ本編では語られなかった(というか設定そのものも細かくは作ってなかったらしい)エピソードになっています。最終的に登場キャラほぼ全滅エンドになることは分かっていたので、楽しげな場面を見ると切なくなったり……。欲を言えばもうちょっとひとつひとつの場面を濃くして欲しかったかなぁと。あとやっぱり、地球へ来てから結婚するまでの話も読みたかったです。

肷

「戦う司書と終章の獣」

■読んだ本メモ2。
「戦う司書と終章の獣」(山形石雄・スーパーダッシュ文庫)
戦う司書と終章の獣戦う司書と終章の獣
 反乱を防ぎ、ふたたび平和を取り戻したバントーラ図書館に突如異変が。書架を守る役目を担う衛獣たちが自らの護衛領域を脱走し、武装司書たちを襲撃し始めたのだ!総動員で衛獣に立ち向かう武装司書たちだったが、館長代行のハミュッツが一向に姿を現さない。敗色濃厚になる中で、ハミュッツから全職員に通達されたのは、武装司書の本来の意味と、この世界にまるわる衝撃の事実だった――!
 シリーズ第8弾。
 一気に話をたたみにかかったのは良いのですが、あまりにも容赦がなさすぎて、この状況からひっくり返すことができるのか?そもそも誰が収集付けてくれるのか?という疑問でいっぱいになりました。今までの努力が水の泡、もいいところです。たったひとりの気分次第でこんなことになってしまうとは……。読んでいて唖然としてしまいました。ストーリーもクライマックスのようですが、綺麗にまとまるといいなぁと思います。中途半端には終わりませんように。

肷

「紅~ギロチン~」

■今日読んだ本メモ。
「紅~ギロチン~」(片山憲太郎・スーパーダッシュ文庫)
紅~ギロチン~紅~ギロチン~
 シリーズ第2弾。
 駆け出しの揉め事処理屋・紅真九郎に来た一本の電話。それは商売敵である悪宇商会からの勧誘だった。一度は応じた真九郎だったが、最終課題が少女の暗殺であることを知り拒否、交渉は決裂する。少女の暗殺を阻止するため動き出す真九郎だったが……。
 話が動き出すまで長く感じてしまいました。暗殺の標的である理津との絡みがもっと多ければ、終盤の重さも違ってたんでは。せっかくの彼女の設定が勿体無い。それもこれも、真九郎が長々とくよくよ迷ってなかなか進まなかったせいなんでしょうが。やたら女性に助けてもらうのは「電波的~」の主人公と同じですが、自分の力でどうにかする(戦う)までが長すぎるのがネックだと思います。戦闘はかなりあっさり風味でしたね……。
 新キャラの切彦はいいキャラしてましたね。個人的には刃物持ってない方が好きです。この子を「ちゃん」付けで呼んでしまえる部分は、真九郎のいいところだと思います(笑)。

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「電波的な彼女~幸福ゲーム~」

■今日読んだ本メモ。
「電波的な彼女~幸福ゲーム~」(片山憲太郎・スーパーダッシュ文庫)
電波的な彼女~幸福ゲーム~電波的な彼女~幸福ゲーム~
 シリーズ第3弾。
 無差別イジメに巻き込まれたジュウ。次第にエスカレートしていく中、雨の妹・光も被害に遭っていると知り、ジュウはついに犯人探しを始める。雨たちの協力を得ながら突き止めたのは、奇妙な集団で――。
 名も無き一般人たちの陰湿さだとか悪意だとかのせいで、読んでいても読み終わってもどうもすっきりしない作品ですが、今回は(完全なハッピーエンドでは無いですが)胸のもやもやが少し晴らされました。まさしく「因果応報」。
 しかし、女の子たちが有能すぎて、主人公はどうなんだろう……と思わないでもなく。たしかに彼女たちを動かせるのは彼だけなんでしょうけどね。ただ、1巻を読んだ頃の嫌悪感のようなものは薄れてきたように感じます。結局のところ、”お人よし”担当なんでしょうねー。

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