「ロゥド・オブ・デュラハン」

■感想メモ。
「ロゥド・オブ・デュラハン」(紫藤ケイ・このライトノベルがすごい!文庫)
ロゥド・オブ・デュラハン (このライトノベルがすごい! 文庫)
 領姫の不可解な死の真相を追う傭兵アルフォンスは、死体を操る死術師と対峙し窮地に陥ったところを、白銀の髪の女に救われる。彼女の者の名はリィゼロット。永き時を生き、死の運命を弄ぶ者たちを狩る、精霊デュラハンの一人。漆黒の鎧を身に纏い、純白の大剣を振るいながら、彼女は不自然に歪められた命を狩りつづける。茫洋としたまなざしに、深い悲しみをたたえながら――。

 第3回このライトノベルがすごい!大賞・大賞受賞作。
 血みどろで人死にも多く殺伐としているものの、文章のおかげか割とさらっと読めました。1冊で綺麗にまとまっているのは好感が持てますが、その分、ストーリーを駆け足かつコンパクトにまとめてしまった感も。特に、因縁の相手の退場は、ここまで引っ張ってきてそんなにあっさり?とちょっと肩すかし。
 しかしながら、空気気味だったアルフォンスが盛り返す終盤からラストにかけての展開は希望のあるもので、読後感は良好でした。これでもうちょっと、濃い目に掘り下げがあればもっと良かったのですが。

肷

「グッドナイト×レイヴン」

■感想メモ。
「グッドナイト×レイヴン」(深沢仁・このライトノベルがすごい!文庫)
グッドナイト×レイヴン (このライトノベルがすごい! 文庫)
 息をするようにスリを行う無気力少年・鈴人。女装癖のある美少年・遊。スピード狂の無口美少女・倉日。知り合いですらなかった3人だが、怪しい男・ワタリヤにはめられ急ごしらえの怪盗チームとなる。一回7万円、実働時間は1時間以下。微妙にイリーガルな匂いのする報酬とスリルに釣られ、盗みを重ねるうちに相性最悪だった3人の距離も近づいていくが、同時に不可解な盗みに隠された意味にも気づきはじめ…。

 あらすじから、もう少しスリル溢れる犯罪行為のようなものを想像していたのですが、思いのほか(誰かに見咎められることがないという点において)安全なお仕事。淡々とした文章も相まって、緊張感はあまりありませんでした。作中の言葉を借りれば「ファンタジック」な設定も、その一因になっているのかも。全体的にさくさくとした話運びでした。
 主役3人の掘り下げもそこそこ、ワタリヤの過去やその他触れられても浅いため、1冊かけてのプロローグのような印象。次があるなら、3人の家族とかももっと見てみたいなぁと思いました。この1冊ではまだ物足りない感じ。

肷

「オカルトリック02」

■感想メモ。
「オカルトリック02」(大間九郎・このライトノベルがすごい!文庫)
オカルトリック 02 (このライトノベルがすごい! 文庫)
 元狐憑きの探偵助手・玉藻と、超絶美女の引きこもり探偵・ねえさん、向上心溢れるメンヘラ・イソラちゃん(キーワードは女子力! )。ギリギリのバランスを保っていた三角関係は、意識不明だったイソラの姉・舞花の目覚めと共に、次のステージに移行する――過剰で真摯な愛情が織りなす、混沌とした関係はどこへ向かうのか!? オカルト? マジック? ファンタジー? 夢と現実と過去が絡み合う、未だかつてない物語をご堪能あれ!

 シリーズ第2弾。
 もはやストーリーとか推理とかトリックとか真相も瑣末と言うかオマケと言うかわりとどうでもいいような扱いになっていて、その分、イソラの病みっぷりとか玉藻とねえさんの愛や愛や愛に溢れ切っています。オマケ部分に突っ込みを入れるのは、無粋なのかもしれません。
 読んでいて良く分からないシーン・脇キャラも多いですが、最終的な着地点は綺麗に収まっている不思議。
 不思議で不条理なんだけど、愛に溢れている。読んでると頭がグルグルしてくる作品でした。

肷

「しずまれ!俺の左腕」

■感想メモ。
「しずまれ!俺の左腕」(おかもと(仮)・このライトノベルがすごい!文庫)
しずまれ! 俺の左腕 (このライトノベルがすごい! 文庫)
 善良なリア充である高校2年生の篠中紳士は、ある日謎の飛来物と衝突、異世界の魔王に憑依されてしまう! 紳士の左腕を乗っ取った魔王は、その恐るべき力を用いて……ネトゲ三昧!? 「くくく、携帯をよこせ! まとめサイトを見るのだ! 」「やめろ魔王! くっ、しずまれ僕の左腕……! 」リア充から一転、邪気眼へとクラスチェンジしてしまった紳士の運命は!? 『伝説兄妹! 』のおかもと(仮)が贈る、笑いと感動の庶民派ラブコメディ、いよいよ開幕!
 
 あらすじや帯からして、魔王様はかなりネトゲ廃人なダメキャラなのかな?と思いきや、思いのほか大人しめでした。前作と違って主人公も真面目な良い人キャラなので、弾け足りないなといった感。むしろ幼馴染み2人(男女)の方が個性的で、主人公はなんで幼馴染みの方を選ばないんだ!と思ってしまったくらい。当て身のシーンとか卑怯すぎます。なにあのゾンビ。可愛い。個性で言うなら浪人生勇者もかなりなものでした。あと川尻さん。
 総じて、脇キャラの個性に主役が負け気味なのが惜しいなぁと。シリーズ化するなら、もっとふたりに弾けさせて欲しいです。

肷

「魔法少女育成計画」

■感想メモ。
「魔法少女育成計画」(遠藤浅蜊・このライトノベルがすごい!文庫)
魔法少女育成計画 (このライトノベルがすごい! 文庫)
 大人気ソーシャルゲーム『魔法少女育成計画』は、数万人に一人の割合で本物の魔法少女を作り出す奇跡のゲームだった。幸運にも魔法の力を得て、充実した日々を送る少女たち。しかしある日、運営から「増えすぎた魔法少女を半分に減らす」という一方的な通告が届き、十六人の魔法少女による苛烈で無慈悲なサバイバルレースが幕を開けた……。第2回「このラノ」大賞・栗山千明賞受賞作家の遠藤浅蜊が贈る、マジカルサスペンスバトル!

 可愛らしい外見とは裏腹に、殺伐とした魔法少女たちのバトルロワイヤル。
 当初のルールは「善行の報酬であるマジカルキャンディの所持数が一番少なかった一人が毎週脱落」というもので、相手からの奪取を画策する者が現れます。その辺の手段や結末が面白かっただけに、その後あっさり殺し合い(戦闘)に移行してしまったのは少し残念に思えました。もうちょっと魔法少女同士の騙し合いが見たかったです。毎週一人ずつ、というじわじわ感が好きだったんですけども、それをやると長くなりすぎる、というのもあったのかもしれませんが。
 それにしても、ほとんど死んじゃうんだろうな…と覚悟していても、気に入っていたキャラの死は結構辛いものがありました。

肷

「オカルトリック」

■感想メモ。
「オカルトリック」(大間九郎・このライトノベルがすごい!文庫)
オカルトリック (このライトノベルがすごい! 文庫)
 狐憑きの少年・玉藻と、超絶美女でヒッキーな探偵・ねえさんの、奇妙でふざけた、そして真摯なオカルト事件簿。自然発火、物の怪憑き、チュパカブラ……次々に起こる事件を通して描き出されるものは何か? オカルト×トリック×カラクリ=人間の幸福って、どんな物語だよ! 第1回『このライトノベルがすごい! 』大賞・栗山千明賞受賞の衝撃作『ファンダ・メンダ・マウス』の大間九郎の新シリーズ開幕です!!

 最初はキャラの掛け合いやら事件の調査内容やら真相ばらしやら、ぐだぐだ気味かなぁと思いましたが、次第に背景が明らかになって行くと、不思議としっくりきているように感じられました。オカルトとか推理とか、そういう方向よりも、キャラの個性で引っ張って行く作品のような印象。玉藻と葛乃葉の関係は好きですね。最初はどんな変態だ、と思ったりしたのに……(笑)。きちんと理由の描写があるところが良かった。
 それにしてもイソラという要素がいったいどんな事件を巻き起こすのか。ラストの引きが不安すぎます……。

肷

「禁書庫の六使徒」

■感想メモ。
「禁書庫の六使徒」(栗原ちひろ・F-Clan文庫)
禁書庫の六使徒 (f-Clan文庫)
 世界中の呪いが集まる百塔街。魔界の血を引くアレシュが結成した、街を守る「深淵の六使徒」は、突如空いた大穴の解明に乗り出す。そこへ、魔界の紳士がメイドのハナを迎えに現れた。アレシュの目前で婚約者だという彼の手を取り、去ってしまったハナ。茫然自失で寝台の中へ引きこもるアレシュだったが、ハナの悲しい本音を知って、彼女を取り戻そうと魔界へ乗り込むことに―。

 シリーズ第2弾。今回はハナちゃん回。
 ……なのですが、クレメンテが卑怯なくらいインパクトありすぎて……。あれ、こんなキャラだったっけ?(笑)どうみてもギャグキャラのような扱い(しかも結構便利)で吹いてしまいました。
 アレシュとハナちゃんの関係はとても好みで、にやにやできました。アレシュのダメっぷりと、ハナちゃんの毒舌ツンデレっぷりが実にいいですね。他のキャラは少し影が薄めだったような。次以降の巻があるならば、もっとスポットが当たればいいなぁと思います。

肷

「神殺しのリュシア」

■感想メモ。
「神殺しのリュシア」(遠沢志希・F-clan文庫)
神殺しのリュシア (f-Clan文庫)
 恩恵をもたらす竜が蘇らず、世界は戦渦の直中にあった。不死の体を持つ傭兵の少女リュシアは、この戦いは竜を蘇らすための聖戦だと信じて、戦っていた。ところが、竜が蘇らないのは、自分が禁忌を犯したせいだと知る。絶望と罪悪感の中、リュシアは身を捧げて罪を贖うため、己を葬る役目を任された神官のユアンと共に旅に出た。だがユアンの優しさに、その決意が揺らぎそうで…。

 ふたり+一人の旅路。後半に急に出てくる(ように見える)三人目は果たして物語に必要なキャラなのかな?と最初は思ったのですが、彼無くしては幕の引けないお話であったと思います。
 竜を蘇らせるための戦いと信じて命を投げ出す子供たちの姿と、そんな彼らを救いたいと我が身を投げ出すリュシアの姿はただただ物悲しいものがあります。しかし、だからこそ辿り着いた結末は、ふたりにとってかけがえのないものなんだなぁと。
 1冊で綺麗にまとまった、良いお話でした。

肷

「ちょこプリ! 2.勇者になった日」

■感想メモ。
「ちょこプリ! 2.勇者になった日」(後藤リウ・講談社ラノベ文庫)
ちょこプリ!2.勇者になった日 (講談社ラノベ文庫)
 異世界の国ラウレーニアの姫・キキの護衛(下僕?)となった蛍介。とあるきっかけで隣国ダウネシアの姫リリアと出会ったキキと蛍介は、偶然三人一緒に現代日本に戻ってしまう。嬉し恥ずかし同居生活×2で再開かと思いきや、性格スタイルなんでも正反対の二人の姫のいろんな部分で挟まれて楽しさも気苦労も特盛りの蛍介。一緒についてきたチビドラゴンを元の世界に連れ戻そうと奮闘する三人だが、姫ふたりは女の暗闘を繰り広げるし、リリアは可愛いだけじゃなかったし、さらには蛍介も魔法のせいで小さくなってしまった。しかし同じ大きさになったせいか、キキと蛍介の関係にも変化が訪れたような…姫と巨人のファンタジックラブコメ第2巻登場。

 シリーズ第2弾。
 1巻ラストは気になる引きでしたが、結局日本に戻って来ちゃってバタバタ。基本的に「頭のいいキャラ」がいないので(腹黒姫にしても悪役にしてもどっか抜けてる)、良くも悪くもゆるーい雰囲気の話になってます。もうちょっと締めるところはきちっと締めて欲しいと思うんですけどね。裏表激しいリリアと、その外面の良さにころっと騙される蛍介、素直になれないキキ…という構図が延々続くのはちょっと疲れました。
 ただ、普段はキキのことを意識していないのに、蛍介が縮んで同サイズになったとたんにドキドキしてしまうという展開はなかなか良かったです。次はキキが大きくなればいいんじゃないでしょうか!

肷

「妓楼には鍵の姫が住まう-黄泉がえりの人形-」

■感想メモ。
「妓楼には鍵の姫が住まう-黄泉がえりの人形-」(水瀬桂子・f-Clan文庫)
妓楼には鍵の姫が住まう -黄泉がえりの人形- (f-Clan文庫)
 死人を見る目を持つ誠二と、化け物姫の異名をとる紅羽。いつの間にやら『お気に入り』となった誠二は、紅羽と奇妙に和む交流を続けていた。そこに、供養人形が消え、死んだはずの娘が目撃されたという怪異が持ち込まれる。事を調べる中であらわになる、紅羽の従者・十夜の壮絶な過去と哀しい願い。紅羽に託され十夜を救おうとする誠二だったが、此度の怪異には兄が関わっていて…。

 シリーズ第2弾。
 後書きでも触れられていましたが、挿絵で誠二がものすごく良い笑顔を見せていたのにびっくりでした。
 実家では心を削られるような日々で、安息があるのは紅羽の部屋だけ…というのがかなり切なかったけれど、徐々に周囲が変わりつつあってほっとしました。1巻の父もそうでしたけど、距離を置いている人たちとも、ほんの少しのきっかけがあれば近づくことができるんだなぁと。紅羽の方も、誠二といるときの普通の女の子のような態度がとてもいいなぁとにやにやできました。
 十夜の過去が描かれ、紅羽の父の話が出てきて。何かが起こりそうな気配を含みつつ、次の巻が出るのを楽しみに待ってます。

肷