「ベイビー、グッドモーニング」

■感想メモ。
「ベイビー、グッドモーニング」(河野裕・角川スニーカー文庫)
ベイビー、グッドモーニング (角川スニーカー文庫)
 「私は死神です。つい先ほど、貴方は死ぬ予定でした。でも誠に勝手ながら、寿命を三日ほど延長させて頂きました」夏の病院。入院中の少年の前に現れたのは、ミニスカートに白いTシャツの少女だった。死神には、月ごとに集める魂の“ノルマ”があり、綺麗なところをより集めて新しい魂にする=「ペットボトルのリサイクルみたいなもの」と言うのだが…。『サクラダリセット』の河野裕&椎名優が贈る、死神と四つの濁った魂の物語。

 4つの物語からなる短編集。それぞれリンクしている部分があって、最後の一編に綺麗に収束していきます。タイトルの意味がわかるラストは秀逸。
 4つの話すべてに登場する死神の少女。彼女は「人を殺す」のではなく、死ぬ人の魂を集めて新しい魂をつくるのがお仕事。淡々とした口調ながらも、自身のノルマのために寿命を延長してしまったり、服装がユニクロだったり、コンビニで買い物したり、と妙に人間ぽいところを見せるのがなかなかに魅力的でした。死にゆく人々も、自身の死期を知りながらも、「死ぬ前にしたいこと」を想ったり実行したり、様々な生き方を見せてくれるのが胸にじんわりときました。どれも素敵な話でしたが特に後半2篇がお気に入りです。

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「サイハテの救世主 PAPER I:破壊者」

■感想メモ。
「サイハテの救世主 PAPER I:破壊者」(岩井恭平・角川スニーカー文庫)
サイハテの救世主  PAPERI:破壊者 (角川スニーカー文庫)
 日本国の最南端、沖縄―沙藤葉はサイハテの地に降り立った。そこで出会ったのは隣に住む世話焼き美少女の濱門陸や、現地アイドルの照瑠など賑やかな近所の人々。彼女たちに対し「ぼくは天才だ!構うな!」と葉は主張するものの誰も信じずに、しぶしぶながらも楽しい生活を始める。だが未完成の論文“破壊者”が完成していた記憶を葉が取り戻した時、世界滅亡のシナリオが動き始める。葉は救世主となり、世界を救えるのか!?―。
 
 シリーズ第1弾。
 とにもかくにも主人公がオーバーリアクションで喚きっぱなしで話に入って行き辛く、ずっとこのテンションで続くんだろうかと、読んでいて不安になりました。しかしながら、徐々に記憶が蘇り、果たして彼は本当に天才なのか?という疑惑が出てくると話に引き込まれて行きました。天才としての孤独と悲しみは重たいものがあって(空っぽのダンボールのくだりが一番切なかった)、逃げたかったのに逃げられなかったという絶望感がひしひしと伝わってきました。しかも今回の件で終わりというわけではないのが……。
 それにしても前半と後半のギャップがあった作品でしたが、2巻もこういうノリが続くのであれば、読むのがちょっと疲れそうだなぁと思ったりしました。

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「問題児たちが異世界から来るそうですよ? 十三番目の太陽を撃て」

■感想メモ。
「問題児たちが異世界から来るそうですよ? 十三番目の太陽を撃て」(竜ノ湖太郎・角川スニーカー文庫)
問題児たちが異世界から来るそうですよ?  十三番目の太陽を撃て (角川スニーカー文庫)
 レティシアが連れ去られたことで始まったギフトゲーム“SUN SYNCHRONOUS ORBIT in VAMPIRE KING”。勝利条件がない最悪のゲームの開始とともに、地上では巨人族がアンダーウッドを襲い、天には最強種である龍の純血が雄叫びをあげる。絶対絶命のなか春日部耀は、レティシアがいる吸血鬼の古城に1人乗り込んでいった。十六夜も黒ウサギも手が届かない天上の城で、十三番目の太陽を撃ち、ゲームクリアは出来るのか―。

 シリーズ第4弾。
 今までは十六夜の最強っぷりの影に隠れがちだった女の子ふたりのギフトが明らかになり、そして強化され、彼女たちの見せ場が増えたのが喜ばしいです。それでもまだ十六夜には叶いませんけど、十六夜は「最後の砦」「あいつが何とかしてくれる!」てな存在ですもんね。彼の出番は控えめでしたが、安定の強さ。でもラストどうしたのかもうちょっと見たかった。
 推理パートはちょっとごちゃっとしていて、途中で考えるのを放棄してしまいました。あとキャラがだいぶ増えたので、そろそろ登場人物紹介ページとか欲しいです……。
 手ごわそうな敵も出てきており、俄然盛り上がる展開。しかし次回予告がなかったのはちょっと残念でした。

肷

「クロス×レガリア 吸血姫の護りかた」

■感想メモ。
「クロス×レガリア 吸血姫の護りかた」(三田誠・角川スニーカー文庫)
クロス×レガリア  吸血姫の護りかた (角川スニーカー文庫)
 中華街の片隅で2人は出会った。少年の名は戌見馳郎、トラブル解決を1回千円で請け負う学生ボディガード。少女の名はナタ、自称仙人。ナタを護ると決めた馳郎の、平和な日常はわずか一週間あまりで終わりを告げる。人の氣を喰らう吸血鬼、“鬼仙”と呼ばれる者たちの襲撃。彼らの目的は、鬼仙を無力化できる最強最悪の兵器―ナタを狩ることだった。「レンタルマギカ」の三田誠が描く圧倒的スケールの新シリーズ、開幕。

 シリーズ第1弾。
 さすがというか何と言うか、きっちり手堅くまとまっていて、安心感がありました。仙人とか吸血鬼とか、決して目新しいものではないのですが、組み合わせ方が上手いなぁと思いました。主人公・馳郎が「千円にこだわる理由」も過去から現在への繋げ方がいいですね。ぱっと見では明らかに「普通の人間」である馳郎の方が弱いのに、ナタを護ろうとする気概があって、それが口先だけでないのが好印象でした。しかし、1巻でこんなに派手にやっちゃって、今後はどうなるんだろう……という期待と不安も。個人的には、妹が単純なブラコン妹とかではない、面白い立場だったのが良かったかなと。レギュラー化しそうなお嬢様&執事も加えて、キャラ同士の絡みがどうなって行くのかも楽しみなところです。

肷

「問題児たちが異世界から来るそうですよ? そう……巨龍召喚」

■感想メモ。
「問題児たちが異世界から来るそうですよ? そう……巨龍召喚」(竜ノ湖太郎・角川スニーカー文庫)
問題児たちが異世界から来るそうですよ?  そう……巨龍召喚 (角川スニーカー文庫)
 幻獣が多く住むという南の“龍角を持つ鷲獅子”連盟から届いた収穫祭への誘い。問題児たち3人は南へ何日行けるかの権利をかけ、ゲームで争うことに!ゲームの結果、南へ向かった黒ウサギ一行は、新種の植物ブラック★ラビットイーターに遭遇した。黒ウサギが触手に襲われる!?なんて遊んでいたら、南を一度滅ぼしかけた魔王の残党である巨人が襲ってきて!そしてノーネームに残った問題児(誰だ!?)の秘密が明かされる。

 シリーズ第3弾。
 問題児たちのキャラ掘り下げはして欲しかったので、十六夜の過去が明かされたのは嬉しかったですねー。十六夜の元の世界での話と現在がリンクしたのも良かった。3人が召喚された時代の順も推測できたりして、この調子で残りふたり分が明かされるのが楽しみです。
 十六夜不在のため、派手さ控えめだった印象ですが、次回は大暴れしてくれそうですね。今回の件がきっかけで、3人や他のキャラたちとの仲が深まっていってくれれば尚いいなぁと思いました。全体的に女性キャラが可愛くてにやにやできます。にしても、混浴にツッコミなしなのは凄いというかなんというか(笑)。

肷

「放課後は無敵ですが何か? 召喚ばれてみれば、一騎当千」

■感想メモ。
「放課後は無敵ですが何か? 召喚ばれてみれば、一騎当千」(秋水・角川スニーカー文庫)
放課後は無敵ですが、何か?  召喚ばれてみれば、一騎当千 (角川スニーカー文庫)
 逍遙館高校の学生寮には秘密がある。生徒たちは皆、異世界の姫・ハルカに召喚される一騎当千、“俺TUEEE”な能力をもつ“龍仙士”たちなのだ!そんな学生寮に入寮した転校生の竜夷も龍仙士として召喚されたけれど、仲間たちとは違い、なぜか無能力な役立たず!?こんなんで一目惚れしたハルカが篭城する城を、敵の大軍から守りきれるのか!?敵は3万、味方は1000人。大逆転劇が、いま始まるよ?高校生無双のバトルファンタジー。

 主人公たちにとっては、異世界で死んでしまっても現実世界に戻されて二度と異世界に行けなくなるというだけで、ゲーム(遊び)感覚の者もいる。異世界の住人にとってはそうではない。死んだらそれまで。異世界キャラが指摘していたこの点が、読んでて感じる「軽さ」「薄さ」の一因なのかなぁと思いました。影の薄い主人公をはじめとして、主要キャラにあまり良い印象を持てませんでした。心情変化や関係性も、ストーリー展開の都合に見えて……。あとネットとリアルの線引きが出来てないキャラの口調に寒気がして、登場するたびに閉口しました(口調だけのせいではないですが)。
 異世界の方は色々と設定も作ってあるようなので、召喚されっぱなしで帰れない方が盛り上がった話なんではないかなーと思ったりしました。現状では帰る方法が簡単すぎるので。

肷

「レンタルマギカ 争乱の魔法使いたち」

■感想メモ。
「レンタルマギカ 争乱の魔法使いたち」(三田誠・角川スニーカー文庫)
レンタルマギカ  争乱の魔法使いたち (角川スニーカー文庫)
 魔術の世界を揺るがす『大魔術決闘』の幕がきっておとされた。穂波や猫屋敷ら魔法使いを罰する魔法使いによって編成された協会。そして彼らに仇なして来た「王冠」の座タブラ・ラサ率いる「螺旋なる蛇」の血戦はもはや必然。しかしこの決闘を取り仕切る「アストラル」伊庭いつきにはどちらも勝たせるつもりはなかった。その秘策とは―いつきの『力』を信じる者たちも続々集結、波乱を含み魔術の時間は加速する。

 シリーズ第20弾。
 表紙・カラー口絵2枚でそれぞれ<アストラル>側、<協会>側、<羅旋なる蛇>側の魔法使いたちが描かれているのがかっこいいです。
 大魔術決闘の勝利条件が明かされ、いい感じに盛り上がっています。いつきのこれまでの積み重ねが如実に形になっているのが特にいいです。いつきを想って駆けつけた懐かしい面々に、胸が熱くなりました。
 集団VS集団というよりは、まだ人数を小分けにして動かしている状態。前社長がひっかき回してくれそうな要素になってはいますが、個人的には、いつきの頑張りを、後から来て無にしちゃうのだけはやめて欲しいなぁと思ってます。
 すべて方が付いて、また序盤で描かれてたような平和な生活に戻れるのを祈りつつ、次巻を待ちたいです。

肷

「問題児たちが異世界から来るそうですよ? あら、魔王襲来のお知らせ?」

■感想メモ。
「問題児たちが異世界から来るそうですよ? あら、魔王襲来のお知らせ?」(竜ノ湖太郎・角川スニーカー文庫)
問題児たちが異世界から来るそうですよ?  あら、魔王襲来のお知らせ? (角川スニーカー文庫)
 「打倒!魔王!」を掲げた弱小チーム“ノーネーム”に届いたのは、北の“火龍誕生祭”への招待状。魔王襲来の予言があり、東のフロアマスターである白夜叉から参加を要請されたのだ。「それ、面白そう!」と黒ウサギを置いて北へ向かった問題児たちから「今日中に私達を捕まえられなかったら、3人ともノーネームを脱退するから!」という手紙が!?な、何を言っちゃってるんですかお馬鹿あああ―。どうする黒ウサギ!?―。

 シリーズ第2弾。
 今回は飛鳥がメインのお話。彼女が元いた時代の背景を踏まえて、十六夜との会話からハロウィンをしたいと願う流れがすごく良かったです。この二人の組み合わせは好きなので、にやにやしてしまいました。十六夜の博識さは時代の差を差し引いても余りあるような気もしますが。すっかり謎解きとか解説担当になってるなぁと。もし十六夜が敵にでも回ったりしたら面白…もとい大変なことになりそうだなともちょっと思ったり。
 魔王さんたちもいいキャラしていたので、あっさり退場は少し残念でした。次回は日常話だそうですが、平穏一辺倒ではないんだろうなぁと思いつつ。

肷

「ミスマルカ興国物語IX」

■感想メモ。
「ミスマルカ興国物語IX」(林トモアキ・角川スニーカー文庫)
ミスマルカ興国物語 IX (角川スニーカー文庫)
 ついにグランマーセナルの帝都・シューペリアに入ったマヒロ。早速第一皇女にして軍令本部長、“白薔薇姫”の異名をとるシャルロッテから、貴族たちの動向を探る指示を受ける。警戒すべきは帝国内でも広大な領地を誇り、国家基盤を揺るがしかねない四大大公。しかし彼らもまた、中原地域の信頼を集めるマヒロに注目し、利用しようと画策を始めていたのだ。人類統一を掲げる巨大帝国が、マヒロの出現によって、密かに軋み出す。

 シリーズ第9弾。
 シャルロッテとマヒロが暗躍したり色々動いたりする巻。シャルロッテの最強ぶりは結構楽しいのですが、有無を言わせぬ暴力的なところは、この作者の作品によくある女性キャラパターンだなぁと感じてしまいました。急にガラが悪くなってしまうとことか。なのでむしろ最後まで貴族の令嬢然としていたコーネリアの方が新鮮でした。願わくばこのまま成長していってほしいですが……。他ではシャルロッテの言動に右往左往しているユリカ&ルナスが可愛かったです。……うーん、見事に女性陣ばかりが目立ってましたね。登場人物の女性率が高いというのもあるのでしょうが。個人的に皇帝はもうちょっと威厳があって欲しいと思ってたので、ちょっと残念キャラだったなぁと。
 帝国での話はまだ波乱もありそうなので、次回も楽しみです。

肷

「ダンタリアンの書架8」

■感想メモ。
「ダンタリアンの書架8」(三雲岳斗・角川スニーカー文庫)
ダンタリアンの書架8 (角川スニーカー文庫 123-28)
 ある日、ダリアンとヒューイのもとを訪れたカミラ。持参したのは、クリームをたっぷり挟み込んで人気の、缶入りクッキー”ロゼッティ”。中にはカエルが主人公の小さな絵本が入っていた。その表紙の隅には「7」と数字が……クッキーのおまけ絵本は全部で8種類、開けてみないと何が出るかはわからない。そしてダリアンとヒューイは”ロゼッティ”を求めて町に出た!

 シリーズ第8弾は3話収録。
 ダリアン&ヒューイとフラン&ハルの2組が登場する「王の幻書」はハルの翻弄されっぷりにニヤニヤしてしまいました。微妙に気があってるヒューイとフランの掛け合いも楽しかったです。
 「最後の書」は幻書に関係の無いドタバタ劇でしたが、たまにはこういう日常的なお話もいいものです。コレクター魂に火を付けられておまけ目当てに買いあさる気持ちはよくわかります……。でも缶入りクッキーはキツイ。
 書下ろしの「永き黄昏のヴィネット」が一番いつもの雰囲気に近かったですねー。あの人もまた登場の機会はあるでしょうか。脇でちょこちょこ再登場キャラがいたのが懐かしかったです。

肷