「王立エトワール近衛隊 氷の薔薇に敬礼を」

■感想メモ。
「王立エトワール近衛隊 氷の薔薇に敬礼を」(栗原ちひろ・角川ビーンズ文庫)
王立エトワール近衛隊  氷の薔薇に敬礼を (角川ビーンズ文庫)
 熱血新米士官・アルの配属先は、お飾りと名高いエトワール近衛隊。失望するアルの前に現れたのは氷の薔薇と称される美形の上官・シャリオとその右腕の野獣系肉体派少佐・フラム。惚れ惚れと二人を見上げたその矢先、突然シャリオに投げ飛ばされ!?美貌とは裏腹なドS上官に暴れるアルだったが、絢爛な軍服に身を包んだお飾り集団は、実は精鋭士官による特命部隊で!?宮廷内の事件に挑む、美麗男子達の華麗なる作戦開始。

 シリーズ第1弾。
 軍隊もの…というので、どうしても前作「レッド・アドミラル」とイメージが被ってしまう部分が。しかも今作は主人公男、周囲も男ばかり、というので恋愛成分とかはないのかなぁと思ってしまったり。
 1巻と言うことで、主に主人公と上官の関係とか背後とかの紹介に終始した感がありました。上官は言うほどドSでもないですね。そして脇キャラである仲間たちがあまり印象に残らないほど影が薄かったので、次回以降にきっちり掘り下げて欲しいなぁと思いました。

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「六蓮国物語 皇宮の嘘つき公主」

■感想メモ。
「六蓮国物語 皇宮の嘘つき公主」(清家未森・角川ビーンズ文庫)
六蓮国物語  皇宮の嘘つき公主 (角川ビーンズ文庫)
 敬愛する太子のそばにいるために、上官の季隆と偽装婚約の契約をかわした太子近衛武官・結蓮。今日も太子に仇なす妖怪退治に暴走中。ひょんなことから、公主華瑛の護衛につくけれど、彼女はわがままばかり。さらに、太子の兄将軍・崇怜が結蓮の婚約者だと名乗りでてきて、偽装婚約に早くも暗雲のきざし!?こまった結蓮のお悩み相談相手は、恩人・翠玉の御使い様(正体は季隆なのに)で。

 シリーズ第2弾。
 新キャラが増えていましたが、人間関係としては1巻より分かりやすくなっていたかと思います。公主の無茶ぶりを全力で真正面から受けて立ってしまう結蓮は面白かったし、御使い=季隆と知らないままに文通してしまうずれっぷりも読んでいて楽しかったです。さすがにバレるだろ!と突っ込みたくなるくらい徐々に生活の場が近付いていってしまうのも○でした。
 全体的には良かったんですけど、恋愛ライバルとして出てきたキャラがすごい苦手で……。押しつけがましい性格の上に権力があって自分の思い通りにならないことは無いと思ってるようなキャラなので、今後イラっとさせられる場面が増えそう……と不安になりました。

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「首の姫と首なし騎士」

■感想メモ。
「首の姫と首なし騎士」(睦月けい・角川ビーンズ文庫)
首の姫と首なし騎士 (角川ビーンズ文庫)
 大陸の中心・フォルモント国。建国の英雄ジョセフの孫、シャーロットは、本を愛するインドア派の末っ子姫。自分を飾らず、お見合いにも失敗ばかりの彼女は、父王から“首なし騎士”、アルベルト・ホースマンと狩りに行けと命じられる。戦乱の時代、数々の首級をあげたという彼は、まるで抜き身の刃。しかもシャーロットを次の主候補に選び、つきまとってきて!?

 第9回小説大賞、奨励賞受賞作。シリーズ第1弾。
 シャーロット一家のギスギスした空気に本人以上に憂鬱な気分になりながら、祖父とアルベルトの掛け合いの方をもうちょっと読みたいなぁと思ったりもしましたが、シャーロットとアルベルトのやり取りも話が進むにつれ徐々に気に入って行きました。父や次兄の態度にうんざりで、首なし騎士と恐れられているアルベルトの方に和んでしまうのはどうなんだろうとは思いますが。国王たる父は本当に小物でどうしようもないので、早々と物語から完全退場して欲しいくらいでした。
 お話としてはテンション低めで淡々と進んでいく感はありましたが、きちんと伏線を回収しようとしているところは好印象でした。しかし「スポーツハンティング」とか「シスコン」とかいう言葉は別のものにできなかったのか……。シャーロットたちが父親のことを「国王陛下」でなく「国王様」と読んでたのも違和感がありました。

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「シュガー・アップル・フェアリーテイル 銀砂糖師と黄の花冠」

■感想メモ。
「シュガー・アップル・フェアリーテイル 銀砂糖師と黄の花冠」(三川みり・角川ビーンズ文庫)
シュガーアップル・フェアリーテイル  銀砂糖師と黄の花冠 (角川ビーンズ文庫)
 「知り得たすべては他言無用。その約束を守れる者は残りなさい」新工房を開こうと張り切る銀砂糖師アンに、王城から届いた要請。それは、一流の砂糖菓子職人たちと共に、ある仕事を引き受けろというものだった。しかも依頼人は、王妃マルグリット。初めて王城に足を踏み入れたアンは、王家が秘匿し続けてきた美しい銀砂糖妖精ルルから、砂糖菓子の技術を学ぶことになり!?

 シリーズ第7弾。
 技術はどこから来てどこへ行くのか。人間と妖精の関係性も相まって、色々興味深い巻でした。妖精のものは妖精の手で受け継ぐ。そういう時代が来ればいいけど、急には無理だろうし、これからの苦労は並大抵のものではなさそう。また、これまでの巻では散々「女性であること」が職人としてのハンデみたいな書き方をされていたので、逆に「女性だからこそ」な部分が出てきたのはいいことだなぁと思いました。男も女も妖精も、職人として肩を並べられると良いですね。
 今回急にキースが恋のライバル的な立ち位置にやってきたのは吹きました。思考の過程がすごくダメな気がするんですけど……。あんまりぐだぐだにならないといいなぁと思いつつ。

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「シュガーアップル・フェアリーテイル 銀砂糖師と赤の王国」

■感想メモ。
「シュガーアップル・フェアリーテイル 銀砂糖師と赤の王国」(三川みり・角川ビーンズ文庫)
シュガーアップル・フェアリーテイル  銀砂糖師と赤の王国 (角川ビーンズ文庫)
 間近に迫った新聖祭に向け、砂糖菓子作りに余念のない、銀砂糖師アンと仲間たち。その矢先、ペイジ工房の優秀な職人が襲われた!襲ったのは、銀砂糖師襲撃事件を起こしていた、美貌の妖精ラファル。しかもアンは、戦士妖精シャルに異常な執着を示す彼に人質にとられ、シャルと共にさらわれることに!囚われの身となりながらも、新聖祭を思い気が気じゃないアンだけど…!?

 シリーズ第6弾。
 ようやくペイジ工房での話も幕。
 工房からアンとシャルを切り離し、ふたりの間に「人間と妖精」という種族の差を提示する一方で、工房に残されたキャラたちは自分たちにできることをする……という構成になってるのが上手いなぁと思いました。新キャラを出さず、既存のキャラだけで問題を乗り越えていくところがとても良かった。ジョナスも回収されましたしね……。ブリジットが自然な感じに前へ踏み出せたのもほっとしました。代わりにキースはちょっとへたれて来ていたような。
 工房の課題はクリアできても、アンとシャルの間に距離が出来たままですが……。それはこれから色々やきもきさせてくれるのかなぁと。ふたりがどういう答えに辿り着くのか、見守りたいです。

肷

「六蓮国物語 王宮の花嫁武官」

■感想メモ。
「六蓮国物語 王宮の花嫁武官」(清家未森・角川ビーンズ文庫)
六蓮国物語  王宮の花嫁武官 (角川ビーンズ文庫)
 「畏れ多くも殿下を敬愛したてまつりすぎていて」舞台は煌国。婚礼に臨む太子近衛武官・結蓮のもとに、太子〓(そう)成を襲う妖怪が現れたと報せが入る。尊敬する太子の一大事に、花嫁衣装を脱ぎ捨て、太刀を手に駆けつける始末。自ら三度目の結婚をぶち壊してしまうほど太子に心酔する結蓮だけど、突然異動の命令が!待ち受けていたのは、新たな婚約者で―!?清家未森が贈る、チャイニーズ・ファンタジー、ここに開幕。

 シリーズ第1弾。
 キャラ紹介ページにもっとたくさんのキャラを載せて欲しいと思うくらい、脇キャラが多く、名前とか役職名とか呼び方とかがごっちゃになってしまい、覚えることを半ば放棄してしまいました。2巻からはどうにかして欲しいです。
 きっちりしたヒロインと、軽くて飄々とした相手役、ということでいいバランス。季隆という、初めて自分を認めてくれる相手と出会った結蓮の今後の成長に期待してます。……でも、何だか”相棒”という面が強い感じがして、あまり”婚約者”の意味が無いような気がしますが(笑)。「御使い様」の件に関しては、結蓮が気付かないままで引っ張っていくのかなぁと。
 全体的には世界観やキャラ紹介で、派手さには欠ける印象。反面手堅く、安心して読めました。

肷

「レッド・アドミラル 宿命は絆を試す」

■感想メモ。
「レッド・アドミラル 宿命は絆を試す」(栗原ちひろ・角川ビーンズ文庫)
レッド・アドミラル  宿命は絆を試す (角川ビーンズ文庫)
 「ロディア、お前のことを愛してる。お前だけだ」策略によりジェレマイヤに捕らわれたランセの処刑当日、ロディア達は、強行手段にてランセの救出を試みるが、ロディアを庇ったランセは銃弾を受けてしまう。瀕死のランセを胸に抱き絶望するロディアの前に現れたのは、ランセの体を乗っ取り、世界滅亡を企む旧神・ミラだった。世界を守るため、ランセを取り戻すため、ロディアは最後の戦いへ挑む。海軍出世物語、完結巻。

 シリーズ完結。
 各キャラ見せ場とかロディアとの”絆”を見せつけるシーン山盛りですが、できるならもう1冊くらい欲しかった!と思わせる駆け足な部分も(特にサクル等敵側描写が不足してます)。ロディアとランセは過剰なくらいいちゃいちゃしてましたけど(笑)。あとはアルデアやカザルスあたりが結構おいしいところをも持って行ったなぁといった感じ。
 ロディアたちの人生はまだまだ続く、という余韻のあるエンドで、その後のエピソードを短編あたりで覗いてみたかったなぁと思いました。主要キャラの「その後の人生」は最初のカロルで爆笑してしまい、感動がどこかへ行ってしまいました(笑)。
 好きなシリーズだったので、終わってしまって淋しさも残りました。

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「リーディング 司書と魔本が出会うとき」

■感想メモ。
「リーディング 司書と魔本が出会うとき」(隻川いさら・角川ビーンズ文庫)
リーディング  司書と魔本が出会うとき (角川ビーンズ文庫)
 本をこよなく愛する少女リィナは、エルグリッド大陸図書館で働く新米司書。館内では「モグラ」と蔑まれる地階位に入れられてもめげず、先輩司書ジーンにしごかれていた。だが、友人が呪われた「魔本」に捕らわれ、リィナの日常は一変する。図書館には「魔本」と戦う司書―“読解の異能者”が潜むことを知ってしまった上、自分にも特別な力があると告げられ…!?

 第9回ビーンズ小説大賞読者賞受賞作品。
 ダークファンタジーと銘打たれているものの、そこまでダークかというとそうでもないような。
 序盤~中盤のエピソードがやや駆け足な印象はありますが、主役から脇役まで、設定をきちんと描きかつ利用して、1冊で綺麗にまとまった作品でした。……と思ったら、シリーズ2巻発売決定しているようでびっくり。重要設定は使い切ってしまったように思えるのですが……。シリーズ化するんだったら、エピソードをもうちょっと小出しにして幅を持たせても良かったのでは。
 登場人物の中では、密かに自分に異能がないことを苦悩するアニエスが良かった……んですが、苦悩台詞が何度も出てくるのはちょっとしつこく感じてしまったり。

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「シュガーアップル・フェアリーテイル 銀砂糖師と紫の約束」

■感想メモ。
「シュガーアップル・フェアリーテイル 銀砂糖師と紫の約束」(三川みり・角川ビーンズ文庫)
シュガーアップル・フェアリーテイル  銀砂糖師と紫の約束 (角川ビーンズ文庫)
 新聖祭の砂糖菓子を作る、名誉ある仕事を引き受けた、銀砂糖師の少女アン。個性的な職人たちと、力を合わせて頑張ろう。と思ったけれど、巨大な砂糖菓子を作るには広い場所が必要。国教会に頼ってお城を格安で借りたものの、そこはなんと幽霊城!幽霊騒ぎに頭を痛める中、工房長の娘・ブリジットが、謎めいた美男子妖精を連れて帰ってきて!?新聖祭まであとわずか。

 シリーズ第5弾。
 前回の結果を受けての砂糖菓子作りは、さまざまなトラブルに見舞われたこともあり、今回では終わらず次回へ持ち越し。正直あまり引っ張る内容でもないかなと思わないでもないですが、次回と合わせて前後篇の構成なんでしょうか。
 砂糖菓子作りに関する奮闘、幽霊騒動、グラディスとシャルの関係、とちょっと話が散らばってしまっている印象でした。この中ではやはりシャルの話が一番気になってしまいます。過去話はもっと読みたい。
 それにしてもブリジットはどうしようもない上に改善されないので、どうにかならないものかと。職人たちと絡むのかと思いきや、ほったらかし状態なのが悪いんでしょうけども。さくっとエリオットかオーランドに絡ませて何とかしてほしいものです。
 キャットの参戦、ジョナスの名前がちらっと出たりで、次回はまた賑やかなことになりそうです。

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「銀の竜騎士団 死神隊長と見習いウサギ」

■感想メモ。
「銀の竜騎士団 死神隊長と見習いウサギ」(九月文・角川ビーンズ文庫)
銀の竜騎士団   死神隊長と見習いウサギ   (角川ビーンズ文庫)
 16歳の誕生日までに、誓約の竜を大きくできないと廃嫡!?王女シエラが授かった赤竜ルーは、いつまでたっても育たない。あと半年でルーを大きくするために、シエラはルーシェと名前を変え、身分も隠して竜騎士団に入団することに!だけど、配属された黒竜隊の隊長スメラギは怜悧な美貌に反しあだ名が「死神」の、冷酷無情と評判の鬼上官。「ふざけるなっ!空で気を抜くとは何事だ!」困難だらけの竜騎士見習い、開幕。

 思ったよりも恋愛成分は少なく、設定と描写に説得力が欠けているように感じられました。
 隊長が凄い人で「死神」とあだ名されていて……と言う割にはそんな冷酷でもないし、鬼でもないし、理不尽でもない。むしろ真面目さと温さの方が目立っていて、どうも「死神」はしっくりきませんでした。あとイラストのせいもあるかもしれませんが、18歳には見えない……(笑)。個人的には、20歳越えてる方が好みだったなぁと思ったりしました。
 他に気になったのは、団長が色々手を回し過ぎていて、どうも主役二人が彼の手の中で転がされてる感じがしたのと、敵が全然脅威ではなかったこと。そのせいでどうもこじんまりとした話に思えました。シリーズ化されるのであれば、恋愛面をどう掘り下げていくのか、というのはちょっと興味がありますね。

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