「妖精姫の花嫁修業」

■感想メモ。
「妖精姫の花嫁修業」(月本ナシオ・一迅社文庫アイリス)
妖精姫の花嫁修業 (一迅社文庫アイリス)
 幼い頃から妖精と共に暮らし、虹の谷に祝福された王女・フィリアナ。ある日彼女は「新しい家族が出来る」と言われ、人間界に帰ることに。そこで出会ったのは、美しい青年伯爵・ライルだった。だが、冷ややかな眼差しと共に「貴女には王子の花嫁になってもらう」と宣言されたフィリアナは、ライルの厳しい花嫁修業を受けることになってしまい―?淑女への道はいばら道!?元気いっぱい妖精姫と偏屈伯爵の花嫁修業ラブファンタジー。

 フィリアナとライル、試行錯誤しながらもふたりの距離が徐々に近づいていくさまは見ていて楽しかったです。特にライルの不器用さはいいですね。
 しかし全体的に駆け足と言うか描写不足な感があり……。例えば、フィリアナが序盤老人口調から普通の女性口調に変化してたのがちょっと唐突に感じられたりだとか、陰謀や王子様についてはあっさりしすぎだったりとか。王子はふたりについてきちんとした判断を下したのに、その少しあとの場面では未練を見せたり、中途半端に優柔不断ですっきりしないなぁと。

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「プリンシアの花姫 雪の伯爵と氷の伯爵」

■感想メモ。
「プリンシアの花姫 雪の伯爵と氷の伯爵」(沢城利穂・一迅社文庫アイリス)
プリンシアの花姫 雪の伯爵と氷の伯爵 (一迅社文庫アイリス)
 妖精王と人間の間に生まれたフローリアは、感情がたかぶると花を出現させてしまう特異体質の持ち主。
妖精界の危機を救うため《ピンククリスタル》を探しに冬の国を訪れた彼女は、伯爵家の兄弟にその力を知られ屋敷に囚われてしまう。伯爵家が所有するクリスタルを譲ってもらうかわりに、毎日大量の花を捧げることになるけれど、彼らにはとんでもない秘密があって――!? 
花の乙女と伯爵家の兄弟が織りなすラブファンタジー!

 妖精界の危機の割にはあまり切羽詰まったような雰囲気ではなく、ピンククリスタルはあっさり見つかり、そこから堂々巡りで話が進まなくなってしまった感。話を進めるのがほぼ、ヒロインのお付きの妖精のうっかりミス。彼女が付いてこなかったらもうちょっとすんなり話が運んでいたのでは?と思ってしまいます。
 花を出現させるヒロインと、花を必要とする兄弟、という関係性は良いのですが、その設定ありきで描写不足を感じることもしばしば。特に兄の方が恋愛感情に至ったのがいつなのか分からない。いっそのこと弟は単なる邪魔役(恋愛関係なし)に留めておけばよかったんじゃないかなーと、最後の決断の場面を見て思ったりしました。

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「銀狼王の求婚 箱庭の花嫁」

■感想メモ。
「銀狼王の求婚 箱庭の花嫁」(小野上明夜・一迅社文庫アイリス)
銀狼王の求婚 箱庭の花嫁 (一迅社文庫アイリス)
 エレンシア姫が求婚されたのは、忌み神を宿したと恐れられている、美しく冷酷な王・フレドリクセンだった。けれど、エレンシアにとって彼は、厳しくも優しい初恋の相手。幸せな結婚を夢見るエレンシアだったが、フレドリクセンは力に翻弄され、恐ろしい銀狼王になっていた!彼の『生贄の花嫁』となったエレンシアは、元に戻って欲しいと奮闘するが…。忌み神に蝕まれた孤独で強大な王と、閉ざされた箱庭の姫の心の行方は―。

 暴力的で横暴なツンデレ(でもいつデレに切り替わったのか非常に分かり辛い)な王様もですが、”お姫様の仮面をかぶる”と何故か台詞が全部平仮名になるヒロインにイラっとして、中盤までに何度か挫折しそうになりました。全体的に好印象なキャラがあんまりいないのも辛いところです。王様の設定自体は割と好みだったんですけどねー……。
 北欧神話ベースの架空世界が舞台なのですが、神様の名前や固有名詞等、読者が北欧神話を知っている前提で説明不足に感じられるところも多々ありました。

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「呪禁の姫と銀の夜叉~秘密のキスは灯りを消して~」

■感想メモ。
「呪禁の姫と銀の夜叉~秘密のキスは灯りを消して~」(石倉リサ・一迅社文庫アイリス)
呪禁の姫と銀の夜叉~秘密のキスは灯りを消して~ (一迅社文庫アイリス)
 妖を封じる“呪禁士”の一族の姫・メイファは、霊力だけはありあまっているのに、術がまったく使えないダメ術者。一方・メイファに仕える天才呪禁士の青年・シェンランは、主を主とも思わない、慇懃無礼な毒舌従者。しかしシェンランは、メイファの体に口付けして霊力を与えてもらわなければ生きていけない運命を背負っていて…!?中華風異世界を舞台におくる、退魔ラブファンタジー。

 シェンランは「慇懃無礼な毒舌従者」というにはちょっとぬるめかなぁと思ったりしましたが、キャラ同士の掛け合いはテンポよく、楽しく読めました。メイファとシェンランの関係も、互いに「この人でないといけない」という明確な設定と持ちつ持たれつな感じが良かったです。灯りを消す理由も微笑ましい。
 ただ表紙で銃を持っているメイファが、本編では単なるエネルギータンク状態で戦闘には役に立たない上に敵に狙われやすいというのと、ピーちゃん(ピーター)だけ何だか浮いてるなぁというのは気になりました。
 全体的には、細々とした伏線も回収して、上手にまとめていたように感じられました。

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「盗賊プリマと憂鬱な王子様~コメディア・デラルテの舞姫~」

■感想メモ。
「盗賊プリマと憂鬱な王子様~コメディア・デラルテの舞姫~」(高丘しづる・一迅社文庫アイリス)
盗賊プリマと憂鬱な王子様~コメディア・デラルテの舞姫~ (一迅社文庫アイリス)
 「そなた、わたしを盗みださないか?」表では仮面喜劇団“暁の女神団”の舞姫、しかし裏では義賊として盗みを働いている少女、ルジィチカ。そんなある日、彼女が盗みに入った貴族の別荘にいたのは、なんとこの国の王子様・パヴェルだった―。傀儡王子と噂され、表舞台から遠ざけられていたパヴェルは、ルジィチカに外の世界に連れ出してほしいと頼む。盗賊と王子様、出会うはずのなかったふたりは、次第に惹かれあい…!?恋の仮面喜劇、開幕。
 
 ストーリーに入る手前で説明が少ないまま用語がごちゃごちゃっと出てくるので、そこでまず躓いてしまいました。耳慣れない・覚えにくいカタカナ用語が多くてちょっと混乱。
 ヒロインと王子様については丁寧に描かれていて良いのですが、他のキャラ(幼馴染みや団長、いじわるな役者など)は掘り下げが足りない印象。特に幼馴染みは勿体ない気が…。正体不明の盗賊さんも、いったい何だったの?という感じ。
 後書きでその後に触れてるので、1冊完結なんでしょうか。それならそれで、世界観や用語はもうちょっと整理して欲しかったです。

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「<赤の女王>候補生 退学はロマンスのはじまり!?」

■感想メモ。
「<赤の女王>候補生 退学はロマンスのはじまり!?」(響野夏菜・一迅社文庫アイリス)
〈赤の女王〉候補生 退学はロマンスのはじまり!? (一迅社文庫アイリス)
 女性召喚士の最高位“赤の女王”の候補生として、精霊召喚の学院にむりやり入れられてしまったマージュ。だが、女子生徒は百年ぶりだという学院は男だらけ!学院をやめたいマージュは、“黒の王”の後継者として学院に君臨する問題児・エヴァンをたずねる。彼に退学になる手伝いを頼んだはずが、話を聞いたエヴァンは、突然キスしてきて…!?退学になるには「不純異性交遊」しなきゃならない!?精霊学院×ラブファンタジー。
 
 逆ハーレムとしてはほどほどのバランス(ヒロインとの未来を語られているキャラがいるため)、男性陣は生徒から先生までなかなかに良いキャラが揃っています(特にどこかすっとぼけた風な先生が好みでした)が、肝心のヒロインがどうにも苦手。良く言えば元気、悪く言えば煩く、自分からトラブルに突っ込んでいく自爆型。もう少し、一呼吸置いて考えを巡らせていれば、回避できた事態も多かったはず。
 後半もばたついていたなぁという印象が強かったです。ちょっと読んでいて疲れました。

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「灰かぶり姫と吸血鬼~ブラッディ・ガーネットの少年伯~」

■感想メモ。
「灰かぶり姫と吸血鬼~ブラッディ・ガーネットの少年伯~」(かたやま和華・一迅社文庫アイリス)
灰かぶり姫と吸血鬼~ブラッディ・ガーネットの少年伯~ (一迅社文庫アイリス)
 宝石商の娘だったメルディは、伯母に家屋敷を乗っ取られ、吸血鬼一族が住むと噂される不気味なガーネット城へ奉公に出されてしまう。しかし、そこで待っていたのは、麗しく成長した初恋の美青年!…と思いきや、目覚めた時に隣にいたのは生意気な美少年!?「お前こそが、オレの唯一無二の…晩餐なのだ」あなたが欲しいのは私?それとも私の血?花嫁と書いて晩餐ってどういうこと…!?―。

 不幸な身の上であるはずのヒロインが天然と言うには度を越したポジティブさで、感情移入しにくかったです。せっかく、いじわるな伯母と従姉にルルーを会わせる機会があったのに実現せず、彼女らをぎゃふんと言わせて溜飲を下げるようなことができずに実に残念。まぁ、メルディ本人にとっては瑣末なことなのかもしれませんが…(ポジティブなので)。
 あと気になったのは、忠誠がどうのと言う割には本人が出てこないのでいまひとつ説得力に欠ける女王様と、存在が宙ぶらりんな気がしたエテルロットでしょうか。細かい部分まで手が回ってないように感じられました。
 個人的に好みだったのはルルーの兄ノア。男前でけじめの付け方もいいのに、将来の夢はあれで良かったのか…と思わないでもないですが。

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「ささら咲く―化生国牡丹花伝―」

■感想メモ。
「ささら咲く―化生国牡丹花伝―」(紫月恵理・一迅社文庫アイリス)
ささら咲く-化生国牡丹花伝- (一迅社文庫アイリス)
 動植物や物の化身で人外の力を持つ者、化生。牡丹化生に守護される加賀見国の美貌の国主由峰の秘密は女であること、そして守役である半化生の青年・高遠に恋していることだった。ところが、隣国の国主の子息・雅季に女だと知られ、黙っているかわりに彼と秘密裏に結婚することを強要されてしまい―!?男装の女当主と烈しい想いを秘めた半化生の守役、隣国の野心家の青年。守るべきは国か許されぬ想いなのか?和風花恋絵巻登場。

 淡々とした話運びで、着地点も予想しやすいだけに、意外性がなかったのは残念。主人公たちは現状を打破しようと努力はするのですが、結局のところ大化生である涼風の心持ひとつであるので、何だか肩すかし。化生などの設定も曖昧さがあり、この国はよく今まで成り立ってきたものだなぁと思ってしまう部分も。もうちょっと恋愛成分的な華やかさでもあればよかったのですが……。

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「眠れない悪魔と鳥籠の歌姫」

■感想メモ。
「眠れない悪魔と鳥籠の歌姫」(瑞山いつき・一迅社文庫アイリス)
眠れない悪魔と鳥籠の歌姫 (一迅社文庫アイリス)
 闇オークションで売られていた歌姫ニーナを連れ出したのは、冷酷で美しい悪魔憑きの青年・アルドだった。彼の中の悪魔を眠らせるため、囚われて子守唄を歌うことになってしまったニーナ。しかし、精霊使いのニーナの言葉は、悪魔憑きのアルドを従わせる効果もあって…?いびつな関係を続けながらも、心を許し始めたふたりに、悪魔を求める総督の追手が迫る―。囚われの歌姫と眠れない悪魔が奏でるラブファンタジー。

 最初にタイトルだけ見たときは悪魔が歌姫攫ってきて城にでも監禁する話なんだろうか、と思ったのですが全然違いました。
 回りくどすぎるツンデレなアルドと、彼に振り回されるニーナがなかなかよかったです。一緒に寝てても、「抱き枕」扱いで色気皆無なところとか。
 しかし終盤は「悪魔に命令できる」ニーナ自身が現状を把握できてなくて混乱しすぎているので、ちょっと間が抜けた場面が多かったように思います。結局悪魔って何なのかとかいう説明は無いし、根本的解決はできてないしで、消化不良な印象でした。設定は好きなのに勿体ない。

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「悪食姫 恋する悪魔のプロポーズ」

■感想メモ。
「悪食姫 恋する悪魔のプロポーズ」(加納邑・一迅社文庫アイリス)
悪食姫 恋する悪魔のプロポーズ (一迅社文庫アイリス)
 100人もの料理人を雇う、自他ともに認める美食家の姫・ルルは、従者のグリシュとともに隣国で行われる「美食コンテスト」に参加することに。しかしそれは、色気より食い気が勝る姫を嘆いた大臣たちの陰謀で、王子様の妃を選ぶためのイベントだった!?料理人や王子様、そして謎の悪魔まで入り乱れ、美形だけどどこか残念な男性たちが、いつしかルル争奪戦を繰り広げることに!キュートで甘い、ファンタジー恋愛コメディ。

 少女向けラノベの表紙で女1・男2の組み合わせの場合、このふたりがヒロインを取りあうのだろうと予想する中、男の片方(従者)がBLであるという悪い意味で斬新過ぎる設定。しかも兄王子(従者の片思いの相手)が最初しか出てこないという死に設定……。普通に口うるさい従者で良かったのでは。
 国が傾くくらい食べてるのに「国民に美味しいもの食べさせたい」とかいうヒロインの発言はどうなんでしょうか。税金が使われているのに、よく国民は暴動起こさないものだと思ってしまいます。あと黒魔術に対する姿勢(使うと死刑)と悪魔との因縁を見るに、隣国はいつ戦争吹っかけてきてもおかしくないと思うんですが……。登場人物たちは呑気で平和すぎる、と思ってしまいました。

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