「ブラッド・スパート3 殉難者たちへの鎮魂歌」

■感想メモ。
「ブラッド・スパート3 殉難者たちへの鎮魂歌」(六塚光・幻狼ファンタジノベルス)
ブラッド・スパート 3 ――殉難者たちへの鎮魂歌 (幻狼ファンタジアノベルス)
 イリステア王国特殊部隊“ブラッド・スパート”のエースとして最前線で戦った幻覚操者・トロイは、戦後軍を離れ、保険会社の調査員として働いていた。しかし、ある事件がきっかけで、巨大な組織から追われる身になってしまう。仲間の助けを借り、組織の陰謀を暴こうとするトロイ。しかし、そんなトロイの前に、敵として姿を現したのは…。

 シリーズ完結。
 作中でのトロイの言葉にもありますが、まさに「因果応報」。裁かれるべき者は裁かれ、報われるべき者は報われる、そんな結末でした。個人的には、ビアズリーの末路が皮肉が効いていて&容赦がなくて良かったなと思いました。
 追われる身となり緊迫した状況のはずなのに、どこか飄々としたとぼけた雰囲気が漂っているのがいいですね。延々オレンジヘッド作ったりとか、タックスくん無双とか、休暇届け申請に職場に行くとか(笑)。
 もっと読んでいたいなと思えるシリーズなので惜しいですけど、綺麗にまとまった最終巻でした。

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「扇舞う2」

■感想メモ。
「扇舞う2」(駒崎優・幻狼ファンタジアノベルス)
扇舞う (2) (幻狼ファンタジアノベルス)
 隣国・今居家の侵略により、少数の手勢と共に落ち延びた若き当主・応義祥三郎。軍師・長坂藤兵衛の助力を得ながら、魚師で海賊の鬼丸と協定を結び、漁村でひっそりと暮らしていた。二年後、今居家の過酷な取り立てに人々の鬱憤が増える中、藤兵衛と仲間たちの力を借り、今居家の動向を探らせながら、祥三郎は密かに国を取り戻すために、戦の準備を進めていたが…。

 シリーズ第2弾。
 父と兄たちを失い、国の奪還を誓った1巻。もっと巻数をかけて描いていくのかなーと思っていたら、2巻で石橋城奪還です。3巻で逆襲撃、となるでしょうか。全3巻で終わる予定だというのが非常に勿体ない! おじさんたちの活躍をにやにやしながら見つつ、主人公たち少年組の成長を見守っていきたいなぁと思っていたのですが……。締めるべきところは締めているとはいえ、表立った活躍の少ない主人公はやや影が薄いです。3巻ではもっと活躍して欲しいなぁと思ったり。
 今回印象的だったのは倉橋荘之介&菊丸の主従。特に主想いの菊丸が可愛くて。味方側は忠誠心の高いキャラが多いので、彼らの熱い想いにこちらも熱くなれます。逆に敵側はちょっと物足りないというか。橘右衛門はもっと何かしてくれると思ったのに……。
 残る最終巻、今回は早めに出ますように。

肷

「扇舞う」

■感想メモ。
「扇舞う」(駒崎優・幻狼ノベルスファンタジア)
扇舞う〈1〉 (幻狼ファンタジアノベルス)
 隣国・今居家の侵略により父と兄を失い、十二歳という若さで応義家当主に就くこととなった祥三郎。居城を今居の軍勢によって包囲され、もはや絶体絶命という状況の中、幼い祥三郎は、引退したかつての応義家軍師・長坂藤兵衛に助力を願い出る―。はたして祥三郎は応義家再興の悲願を果たすことができるのか!?幼き当主の戦と成長を描いた、駒崎優渾身の戦国譚の幕が上がる。

 シリーズ第1弾。架空の土地を舞台にした戦国時代劇。
 幼い主人公は父と兄を亡くし当主となり家の再興を目指す――ということで、圧倒的に不利な状況を覆していくお話が好きなのでわくわくしながら読みました。派手な合戦をして……というのではなく、どちらかというと地味に情報戦をしかけているような感じですが、見えないところでじわじわ敵を追い詰めていくのは面白いです。戦う力を持たない主人公も、単なるお飾りではなく、きちんと物事を考え判断し、行動できているのはいいなぁと思いました。個人的に行く末が気になったのは、故意ではなく偶々なんだけれども不本意ながら恨まれる立場になってしまった橘右衛門。どういう身の振り方をするのでしょうか。悪人ではないだけに現状が気の毒で……。

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「翼の帰る処3(下) 歌われぬ約束」

■感想メモ。
「翼の帰る処3(下) 歌われぬ約束」(妹尾ゆふ子・幻狼ファンタジアノベルス)
翼の帰る処 3 ―歌われぬ約束― (下) (幻狼ファンタジアノベルス)
 皇帝の策略によって罠に陥ったヤエトは、ルス公当主ライモンドと対面し、逃亡した商人を引き渡すよう要請する。要求は受け入れられたものの、無理がたたって倒れてしまうヤエト。からくも北嶺に戻るが、皇帝の策略を阻止するため、ヤエトは無理を押して再び北方へ向かうことを決意する。それを決断させた裏には、“過去視”の力で出会った謎の少女・ルシルの願いを聞き入れたいという思いがあり―。皇帝の策略により、八方ふさがりな状況に追い込まれ窮地に陥ったヤエトがとった行動とは…。

 シリーズ第3巻の下巻。
 上巻がすごいところで引いていたので、待ちに待った下巻でした。
 問題山積しすぎていてヤエトの処理能力(というか体力)越えてるんじゃないかと思ってたら、わりと色々余所に投げてましたね(セルクとか)。物語がヤエト視点なので彼のいない場所のことは語られず、あれはあの後どうなったんだろう……と気になることが結構ありました。
 相変わらず人たらしなヤエト先生がモテモテすぎて笑えました。ルシルVSアルサールとか、ヤエトの食事を見張っちゃうスーリヤとか、ニヤニヤしてしまいます。皆ヤエトの体調管理したくてたまらないんですよね(笑)。
 問題があちらこちらにあったせいか、全体を通してみたらばたばたしていた感じもする巻でした。片付いたものもあれば片付かなかったものもあり、その辺は次回に持ち越し……ですけど、4巻が出るのはまた先になりそうです。でもずっと待ってますので!

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「祈書きの巫女と銀の鱗翅」

■感想メモ。
「祈書きの巫女と銀の鱗翅」(彩木沙茄・幻狼ファンタジアノベルス)
祈書きの巫女と銀の鱗翅 (幻狼ファンタジアノベルス)
 大地母神に仕える祈擁(きよう)の巫女・シルアは、初めての任務で赴いたオルデン城下街で、ぎこちないながらも布教活動を行っていた。しかし無許可の営業とみなされ、若い官僚のファルに捕まってしまう。温情により咎めは受けずに済むが、領主の祈りを書いた祈書(きが)きを神殿まで運ぶことになった。途中まで強引な性格のファルと都に向かうことになるが、魔物や盗賊に狙われ―。

 幼いころから信仰とともに生きてきた巫女シルアと、そんな彼女の考え方に馴染めない秘書官ファルの旅路。登場人物は最小で、その分、主役二人が共に旅をすることで変わっていく心情を丁寧に描いているのがとてもいいなぁと思いました。互いに戸惑ったり近づいたりする様ににやにやしてしまいます。
 シルアにとって絶対的だった神の教えが他人にとってはそうではなかったり、真っ向から否定されたり。ファルの方にも生まれによって生じた価値観があり、立っている場所がまったく違っていたから影響を互いに及ぼし合うことができて良かったのかなと思ったり。プラス方向に変化していく彼らを見ているとあたたかな気持ちになれました。
 シルアの魔法能力とか、国王と黒獅子との対立や、名前しか出てこなかったキャラなど、話を広げられそうな要素はだいぶ残っているので、できれば続編を読んでみたいです。

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「ブラッド・スパート2―罪人たちの仮面劇―」

■感想メモ。
「ブラッド・スパート2―罪人たちの仮面劇―」(六塚光・幻狼ファンタジアノベルス)
ブラッド・スパート 2 (幻狼FANTASIA NOVELS M 5-2)
 イリステア王国特殊部隊<ブラッド・スパート>の元エース・トロイ。今は保険会社の調査員として働く彼は、高額保険金をかけた貿易商・ビアズリーの妻が殺害された事件を調査することになった。ビアズリーとは十三年前のカルディンガム包囲戦で、因縁のあった人物だった。事件の裏にきな臭い匂いを感じたトロイは、真相を突き止めようとするがーー!? 

 シリーズ第2弾。
 繰り返しはギャグの基本……かどうかは定かではないですが、いったい1冊のうちで何回「折り鶴」ネタをやるのかと思ってたら、最後にまさかのオチがついて吹きました。そんなとこから繰り出してくるとか卑怯すぎる(笑)。でもまぁ、たしかに「言われてみれば」という感じですよね。折り鶴についてそんなこと考えたこともなかったです。
 前回ラストで顔見せしたキャラも動き出し、トロイの過去の因縁が大きくメインストーリーに絡んできて、たいへん面白かったです。敵は搦め手で意地悪く、味方は個性的で頼もしい(相変わらず残虐ファイトなタックス君とかやたら母親扱いされるアイリスとか)。しかし次回波乱の種になりそうな動きも最後にあって、かなり気になる引きでした。3巻でひとまず決着が付くようですが、楽しみに待ちたいです。

肷

「眠る竪琴―レンテンローズ」

■感想メモ。
「眠る竪琴―レンテンローズ」(太田忠司・幻狼ファンタジアノベルス)
眠る竪琴―レンテンローズ (幻狼ファンタジアノベルス)
 高校の演劇部に所属する露木千歌は、「眠る竪琴」という台本に登場する役になりきれず、思い悩んでいた。花屋“レンテンローズ”でノブやミユキに悩みを打ち明けながら、過去に「眠る竪琴」を演じた先輩に意見を伺おうとする千歌だったが、その人物は火事で亡くなっていることを知る。まるで台本のシーンが現実に起きたように感じた千歌。そんなとき、練習中に千歌の目の前で顧問が焼死する事件が起き―。

 シリーズ第3弾。
 富士見ミステリー文庫版3巻の「囁く百合」に表題作「眠る竪琴」が書下ろしで追加されています。
 富士ミス版で読んだ時は、急にアカンサス&プリムラの背景が書かれたと思ったら思わせぶりな描写に留まり、しかも続編が出なかったためかなり消化不良でした。今回復刊されるにあたり、各巻書下ろしありということで、3巻では彼らの設定がもっと掘り下げられるのかなと期待していたのですが……。あとがきを読むと、当初はその予定だったものの、話が膨らみ過ぎて枚数オーバーになってしまったのだとか。うーん、残念。あと1冊書下ろしで出してくれないものかと思ってしまいます。
 3巻収録の2篇は事件そのものは後味の悪さもあるものの、結末は良かったな、と思いました。

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「オタクホスト桜木玲音の奇跡」

■感想メモ。
「オタクホスト桜木玲音の奇跡」(佐々木禎子・幻狼ファンタジアノベルス)
オタクホスト桜木玲音の奇跡 (幻狼ファンタジアノベルス)
 新宿歌舞伎町のホストにして生粋のオタク・桜木玲音。今日も今日とて仲間とファミレスでオタクトークに興じる彼だったが、気がつくと、バッグの中に見覚えのない「黒くて硬いブツ」が―。狂喜する竜太郎を押しのけ、持ち主を捜すべく奔走する玲音。だが、その行く手に武闘派ヤクザの影がちらつきはじめ…。愛すべきオタクたちが送るノンストップコメディ、待望の第2弾。

 シリーズ第2弾。
 1巻で登場人物やノリが掴めていたせいか、こちらの方が楽しく読めました。もうあんまり主人公がホストである意味ないんじゃないかとか、最後が色んな意味で超展開すぎて意味不明だとか、ツッコミどころは多すぎですが。苦手キャラであるナツキがあまり出ないのも安心して読めた一因かもしれません(相変わらず花田は出てくるだけでイラっとしますが)。
 「自分以外がトラブルの種を抱えていても自分は助けられないが、逆なら助けてもらえると信じてるので敢えてトラブルを抱え込む」と断言しちゃう主人公(26歳)ってある種貴重かも。1巻よりどんどんヘタレていく玲音……でも何だか憎めないキャラなんですよねえ。独り歩きしすぎている伝説はどうなっちゃうんでしょうか。「実は魔法使い」とかもうだいぶ手遅れのような気が(笑)。

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「オタクホスト桜木玲音の災難」

■感想メモ。
「オタクホスト桜木玲音の災難」(佐々木禎子・幻狼ファンタジアノベルス)
オタクホスト桜木玲音の災難 (幻狼ファンタジアノベルス)
 新宿歌舞伎町のホスト・桜木玲音は、実は『二次元キャラにしか萌えられない』という生粋のオタク。行方不明のキャバ嬢探しやらストーカー相談やら、次々と舞い込む厄介事に、玲音はガンマニアの弁護士、腐女子のコスプレイヤー、ネット中毒のゴスロリSEら、オタク仲間たちとともに立ち向かう!すべての愛すべきオタクたちに捧げる抱腹絶倒のラプソディ―。

 シリーズ第1弾。
 本当に主人公には災難な話でした。
 主人公はフィギュアオタクな素顔を持つイケメンホストですが、「自分がフィギュアを大事に思うのと同じくらい、他人にも大事なものがある」のを理解して思いやることができるところとか、頼まれたことはきちんとやるところとか、他人に幸運をプレゼントできるところとか(比喩表現でなく)、すごくいい人だと思うのに、どうしてこんなに扱いが悪いのか……。頼まれて人探ししただけなのにストーカー呼ばわりされたあげく撤回してもらえないとか……。玲音にあれこれ世話になってるくせに、礼を言うどころか見下してるかのような態度のキャラたちはどうかしてるなと。竜太郎や薫子と一緒にいるときは安心して読めるのですが。あとホストとしてお客と接している玲音は良いですね。人気があるというのも頷けます。
 話としては掴みは良いのにダラダラしてきてそのまま終わった印象。悪役への対処はそれでいいんでしょうか。ちょっとやっつけな感じ。

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「明日葉‐Files―Season2」

■感想メモ。
「明日葉‐Files―Season2」(本田透・幻狼ファンタジアノベルス)
明日葉‐Files―Season〈2〉 (幻狼ファンタジアノベルス)
 オカルトの存在を真っ向から否定する元新聞記者・御陵一郎。オカルトの存在を頭っから信じる超常現象専門誌編集長・蹴上明日葉。「水と油」なふたりのドタバタ取材行―今回の舞台は魔界都市・京都!貴船神社で丑の刻参りの“真実”に迫り、八坂神社で日本人とユダヤ人が同じ祖先だったというトンデモ説にズバッと斬り込み、そして鞍馬山で恋の花が咲き…!?超常現象が楽しくわかるラブコメディ。

 シリーズ第2弾。
 京都関係のネタ(丑の刻参りだとか安倍晴明ネタだとか)は1巻のUFO云々よりは興味があったため、すんなり読めた――のは途中までで、ずーっと蘊蓄が続くのに次第に飽きてしまいました。食べ物ネタは割と好きなんですが。女の子ふたりの物言い(主に一郎をけなす点)はイライラ通り越してげんなり。一郎はよくこの3人で旅できたものだと別の意味で感心してしまいます。二条先輩の空気読めなさも正直どうかして欲しい。
 しかし明日葉と五寸釘ちゃんはデレたら何故か許したくなるという。基本的に一郎視点であり、他のキャラの内面描写が少ないのもイライラの要因なのかもしれません。最後まで読んで、1巻よりちゃんと「ラブコメ」してるなと思える2巻でした。明日葉の鬼女化には吹きました。

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