「バクト!III The Fortuna」

■感想メモ。
「バクト!III The Fortuna」(海冬レイジ・富士見ミステリー文庫)
バクト!〈3〉The Fortuna (富士見ミステリー文庫)
 「わたし…やっぱり、帰る」「はあ?今さら、何を言ってやがる」音無素子は、国定ヒロトの部屋に連れ込まれようとする少女の姿を目撃してしまった!いったいなぜ?いつの間に二人はデキてたの!?素子の頭の中で妄想が駆け巡る—。傷心の素子はヒロトとの約束を破り、彼に会いたくてカジノを訪れた。案の定、彼女はヒロトに冷たく突き放される。そんな時素子が出会ったのは、“究極幸運”を持つ男—ラッキー・ダンと名乗る風変わりなヤツ。ダンはヒロトを窘めるため、彼にクラップス勝負を挑み、ツキまくって完勝してしまう!闘いに敗れ、今やカジノの使いっ走りとなったヒロトは、“究極幸運”と“ダランベール黙示録”の謎を巡り、ダンとの再勝負に臨むが…。誇りを賭けた大勝負の行方は!?

 シリーズ第三弾。
 インターミッションは少々パターン化してしまってますね。裏があるのがバレバレで、どうしても疑いの目で見てしまいます。最後までこれで行くんでしょうか……。
 今回はヒロトが負けてしまったり、音無先生は割りと友人にかかりっきりで彼と接することがいつもより少なかったりで新鮮味が結構ありました。でも、最後の真相ばらしで興ざめしてしまう部分も。その点では今回の仕掛けはあまりうまくなかったかな、と思いました。もっと登場人物たちが予想も付かないくらいの波乱を巻き起こして欲しいですねー。
 音無先生が先生をクビにならないのが不思議になってきた今日この頃です。
 

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「バクト!II The Spoiler」

■感想メモ。
「バクト!II The Spoiler」(海冬レイジ・富士見ミステリー文庫)
バクト!(2) The Spoiler (富士見ミステリー文庫)
 「初めまして。わたしがバクトよ」どこか作り物めいた、人形のような美しさの少女が言った—。戦後最強の誉れ高き伝説の賭博師“バクト”。それを継ぐのがこんな小娘?こいつ、いったい何者だ?どこまで知っている—。ギャンブラー垂涎のイカサマ奥義書『ダランベール黙示録』を狙う新たな刺客か!?「また、後で会いましょう」そう言い残し去った美少女から渡されたのは、謎めいた名簿。そこには失踪したヒロトの妹・ありすの名前が書かれていた…。名簿をたどったヒロトは、初代バクトも敗れ去ったという“カジノの魔”、四八時間不眠不休(トイレあり)究極のホールデム・ポーカーに身を投じることになるが…。

 シリーズ第2弾。
 やっぱり、音無先生が誰かに語るという形式なんですね。インターミッションで描かれる、「語っている相手」に何かがあるというのは1巻でも使っていた手なので、その辺はあまり意外性がなかったかも。ラストの1行の仕掛けもすんなり気付けましたし。ずっとこの構成で行くのなら、パターン化しそうな気も……。
 2巻は1巻ほどギャグが滑ってなくて、先生の口調にも慣れたのか、さくっと読めました。1巻ラストでの約束を守り、先生が無謀なギャンブルに走らずに傍観者だったのが良かったのでしょうか。相変わらず、大人の割には間が抜けすぎているキャラですが……。
 ライバルっぽい女の子が登場していましたが、彼女のおかげで今回の対戦相手の印象が薄かったですね。次ではがっつり絡んでくれることを期待しています。

肷

「バクト!」

■感想メモ。
「バクト!」(海冬レイジ・富士見ミステリー文庫)
バクト! (富士見ミステリー文庫)
 札幌西北高校のマジメな美人教師・音無素子(25歳独身)には、誰にも言えない秘密があった。それは、生徒の両親の借金を肩代わりするために始めたギャンブル…。軽い気持ちで非合法カジノに足を踏み入れた彼女を待っていたのは、屈辱感と一千万の借金!自らハマりすべてを失った音無は、ワラをもすがる思いで、“性格腸捻転”の異名を取る教え子・国定ヒロトを頼る。ヒロトは、抜群の勝負カンと芸術的なスキルを併せ持つ高校生ギャンブラーだったのだ!彼女はヒロトの口から、彼が持つという伝説の賭博師“バクト”が残したギャンブラー垂涎の奥義書「ダランベール黙示録」の存在を聞かされる。しかもヒロトには、「ダランベール黙示録」を手に入れようと名うての賭博師たちが迫っていた―。音無とヒロトはすべての借金をチャラにする大逆転を狙って、希代の賭博師、通称“円盤王”に一世一代の大勝負を挑む!

 第4回富士見ヤングミステリー大賞受賞作。
 ギャンブルをしているシーンとか、イカサマを見抜く場面などはいいなと思えるのですが、それ以上にギャグシーンの滑りっぷりが凄まじく、正直、読んでいて引くレベルでした。インターミッションとか、スルーしてもまったく問題無さそうで半分飛ばし読みでしたけど、全体の構成としては必要な部分ではあるんですよね……。内容はもっとどうにかならなかったのか、とは思いますが。「夜想譚グリモアリス」の1巻もギャグが上手くない、と感じましたがデビュー作はそれ以上でした。
 国定兄妹のキャラには好感が持てるのですが、ヒロインと思われる音無先生が「やるな」と言われたことを全部やってしまう考えなしの大人であることに閉口。これで彼女視点の語りで書かれた話でなければまだ良かったのかもしれませんが。2巻以降で悪かった点が改善されていればいいなと思いつつ。

肷

「ショットガン刑事 強奪!エプロン刑事。」

■感想メモ。
「ショットガン刑事 強奪!エプロン刑事。」(秋口ぎぐる・富士見ミステリー文庫)

「これで正当防衛だっ!」北摂高校刑事部殺人課・宇野辺虎雄といえば泣く子も黙る通称“ショットガン刑事”。その親友“リボルバー娘”イミコが学内マフィアに誘拐された!事件解明に向けて(?)爆走する虎雄、“まるだし刑事”、そして刑事部のアイドル“エプロン刑事”!すれ違いがすれ違いを呼び、気がつけば狂言誘拐は本物の誘拐事件へ。身代金の一千万円は次々と持ち主をかえ、さらなる混乱を引き起こす!ついには刑事とマフィアは新たな波乱へ向かって…!前代未聞、ライト・クライム・ノヴェル(軽犯罪小説?)の金字塔、ここに誕生。

 下の記事で富士ミスの未読作品リストを書いた後、本棚の片隅からこの本を発見したので嬉々として読んでみたら2巻でした……。巻数がナンバリングされてないし、あらすじを読んでもちっとも2巻だと分からないという(しかもこの巻しか持ってなかった)。まぁ、この巻から読んでも内容を理解する上ではまったく問題がなかったのですが。
 作者がだいぶのびのびと好き勝手やってるなぁというのが正直な感想。特に兄妹刑事が……妹はともかく、兄をよくイラスト化したものだなと。ネタ的にはあまり好きではないですが、思わず吹きました。
 あらぬ方向へ尖ったキャラたちが、勘違いとすれ違いで事態を混乱させていく構成は面白かったです。一番笑ったのはあとがきでしたけども。続きがすごく気になります。

肷

「SHI-NO ―シノ―君の笑顔」

■今日読んだ本メモ。
「SHI-NO ―シノ―君の笑顔」(上月雨音・富士見ミステリー文庫)
SHI-NO-シノ-  君の笑顔 (富士見ミステリー文庫)
 僕らは、どうしようもなくひとりだ。でも、だからこそ誰かが必要なんだね。そんなことに、今更ながら気づいた僕だけれど、志乃ちゃんには最初から全部分かっていたことなのかな。僕らは決して一つになれないし、全てを分かりあうことなんて出来ない。だけど—。だからこそ、僕は君に思いを届け続けてみせるよ。志乃ちゃんと一緒に、いつまでも歩き続けていたいから。大学生の「僕」と小学5年生の志乃ちゃんとの純愛系ミステリー。信じ続けることだけが、未来への希望。

 シリーズ完結。
 『僕』には学習機能が無いのだろうか……と思うことしばし。そういうことをすればどうなるか、想像くらいしておくべき。あまりに無謀すぎでした。
 明かされる事件の真相は、某人物に関してすごく後付け設定っぽく感じてしまったのと、犯人がどうにも理解しがたいのが今ひとつに思えて残念。
 結局のところ、死んでしまったキャラにも、怪我を負ってしまったキャラにも、以前のように笑ってそこに居て欲しかったのですよね。ラストは綺麗にまとまっていて良かったのですが、その辺りだけは切なかったです。

肷

「SHI-NO-シノ- 過去からの招待状」

■今日読んだ本メモ。
「SHI-NO-シノ- 過去からの招待状」(上月雨音・富士見ミステリー文庫)
SHI-NO-シノ-  過去からの招待状 (富士見ミステリー文庫)
 TVから流れるニュースが悪夢の再来を告げている。ドキリとする僕とは反対に、志乃ちゃんは涼しい顔だ。僕と志乃ちゃんが出会うことになったあの事件。犯人は死んだはずだ。たしかに、もう終わったはずなのに—。僕にとっても志乃ちゃんにとっても、忘れられるわけがないその記憶。夜の公園で出会った志乃ちゃんの体温と、僕の手を濡らしたぬるりとした液体の感触。あの春の夜から、僕らはもう、逃げるわけにはいかない。志乃ちゃんが普通の小学生になるために。そして、僕と志乃ちゃんが、二人で未来へ歩いて行くために。

 シリーズ第9弾。
 最終話の前編、ということで、非常に気になるところで次に引いてます。まさかあの人があんなことに……。実は夢でした、とかだったらどんなに良かったか。
 『僕』と志乃ちゃんの出会い話(とういか再会話?)をやるということで、それだけで独立した話にするのかと思いきや、現状と被せて「過去の2人に何があったのか?」としているのは良かったと思います。再会したてのぎこちない2人というか、空気のいまいち読めてない自己完結気味な『僕』が、読んでてもどかしい感じはしますが、それは今でもそんなには変わってないのかなぁと。
 2人と彼らを取り巻く人々に幸せな結末が訪れますように、とは思いますが、ラストの展開を考えると難しいような……。果たして物語がどこへ着地するのか。早めに最終巻が出ますように。

肷

「マルタ・サギーは探偵ですか?7 マイラブ」

■今日読んだ本メモ1。
「マルタ・サギーは探偵ですか?7 マイラブ」(野梨原花南・富士見ミステリー文庫)

いつでも、愛を返して欲しかった。だから、誰かを嫌いになったりしないようにしてた。でも、僕はもう子供じゃないから知ってる。自分にとって大事な人は、選べる。自分を軽んじない、蔑ろにしない、尊敬できる人――好きなひと。そのひとと一緒に、僕は僕を幸せにしていいんだ。
そのために、マルタ・サギーは走っていた。暗い山道を、ぼろぼろになりながら。大好きな家族のリッツを助けるために。親しくなった隣人がいるオスタスを、死の都市にしないために、。そして……最愛のバーチを守るために。

シリーズ完結。
無事に完結してよかったなぁ、というのがまず最初の感想です。結局のところ『カード戦争』については謎が残ってしまいましたが、それはこの後、アウレカあたりが何かするのでしょう。マルタとバーチの恋の物語はきちんと決着がついて、本当に良かった。
マリアンナ=バーチへの溢れんばかりの愛を抱いた真っ直ぐなマルタ。対して、そんなマルタに感情を振り回されっぱなしのバーチ。彼女のデレっぷりというか暴走ぶりにはかなり笑わされてしまいました。それと、最終巻にしてランの株急上昇。マルタへ友情の証を渡しに来るシーンの意外な可愛らしさと、やはり最後のあのシーン……男前ですよねえ。あの後マルタと二人でラーメン食べたんでしょうか(笑)。
デアスミスやクレイは悪役で、実際に他人を傷つけたり利用したりしていたはずなのに、何故か根っからの悪人には思えない。ラストに流れるやさしい雰囲気が、この作品らしくて良かったです。
ごちそうさまでした。

肷

「BLOOD THE LAST VAMPIRE 闇を誘う血」

■今日読んだ本メモ。
「BLOOD THE LAST VAMPIRE 闇を誘う血」(藤咲淳一・富士見ミステリー文庫)
BLOOD THE LAST VAMPIRE 闇を誘う血BLOOD THE LAST VAMPIRE 闇を誘う血
 生きてるってそんなにえらいことなの?なぜ死んじゃあダメなの?
 生きることに希望を失った少年、叶居歩。彼は殺人現場を目撃する。数百メートルさ離れた双眼鏡越しの視界での出来事だった。レンズの先ではセーラー服の少女が日本刀で人を斬っていた。あまりに常識離れした光景。しかし、それは惨劇の始まりにしか過ぎなかった。その人斬りの少女、音無小夜が歩の学校に転校してきたからだ。それから、歩の周りで奇怪な事件が続発する。

 ゲームやらアニメやら、他媒体で展開されているものをまったく知らず、前知識無しで読みました。世界設定がどうにも説明不足で、キャラクターたちの背景もぼかして描かれているだけ。小説単品のストーリーは追えても、作品世界を知るには不向きな内容でした。曖昧なまま終わらせるのであれば、もう少しキャラを削っても良かったんではないかと思います。
 あと、このお話の主人公であるところの中学生・歩に感情移入しづらいのも困りもの。ちょっとのことで躓いただけで自殺したがったり、でも実際に自殺する勇気は無かったり、と好感を抱きにくいです。いっそのこと、行くところまで行って悲劇に転がり落ちた方が話としては盛り上がったかもしれません。どうも中途半端で……。
 

肷

「SHI-NO―シノ―空色の未来図」

■今日読んだ本メモ。
「SHI-NO―シノ―空色の未来図」(上月雨音・富士見ミステリー文庫)
SHI-NO―シノ―空色の未来図SHI-NO―シノ―空色の未来図
 「キミは絶対、ボクのことを好きになる」。出会ったばかりの高2の夏、僕に宣戦布告してきた大薙詩葉。予知能力者を言い張るイタイ女だ、なんて思ったけど、僕はまんまとしてやられた。その言葉どおり、彼女を好きになってしまったのだから。詩葉には、本当に見えていたのかもしれない。彼女の死後、詩葉の名前を騙った誰かが今の僕を故郷に呼び戻すということまでも――。詩葉はもうこの世にはいない。自殺したのだ――と言われている。僕は、彼女の死と向き合うために故郷へと戻ってきた。
 シリーズ第8弾。前の巻でもう終盤に差し掛かっているようなことを書いていたと思うのですが、やはり終わりは見えません。あとがきで予告されていた過去編を2冊くらいでやって、クライマックスになるんでしょうか。そもそも最後まで富士ミスで出るのかという疑問もありますが……。
 『僕』に”元カノ”がいたのが不思議でなりませんでしたが、回想シーンを読んでもぴんと来ませんでした。一筋縄ではいかない女の子ばかりを惹き付けてしまう存在であることは良く分かりましたけど(笑)。今回一番美味しかったのは、『僕』のことを大阪から博多まで追いかけてきてしまう3人でしたねー。それぞれがきちんと『僕』のことを見ているのが良いです。今までの巻では説教くささが目立っていた『僕』が、彼女らの力を借りずに1人で考え、しっかり行動できていたところも○。彼に対する評価が少し上がりました。

肷

「初恋セクスアリス」

■今日読んだ本メモ。
「初恋セクスアリス」(矢野有花・富士見ミステリー文庫)
初恋セクスアリス (富士見ミステリー文庫)
 高校一年生の香住有紗は、母が入院するため、夏休みを曾祖母が住む見月島で過ごすこととなった。島で泳ぎ放題の楽しい夏休みになるはずが、なぜか島の名は有紗の胸に不安を呼び起こす。そんな有紗は島で出会ったはとこの陽也にいきなり邪魔者扱いされてしまう。しかし陽也の幼馴染・行彦は優しくて――。ある日有紗は行彦と調べ物をするために訪れた祠で、10年前の悪夢を思い出す。その悪夢が、有紗に運命の選択を迫る――。
 あとがきによると「恋する世代の少女向け」のお話だそうですが、そういう層がそもそも富士ミス読んでるのかなぁと思ってしまったりしました(笑)。
 感情移入してドキドキするには、主人公・有紗のキャラが受け入れにくいですね。友達の兄弟とか、周囲の男は自分のことをやらしい目で見るから嫌い!!男なんてダメ!!とか思ってるわりには、美形(×2)が出てくると意識しだしたり、あっさり転んだり……。序盤でとても萎えました。あと、振られたのに「気が長いから(ずっと待ってる)」とかいう某キャラにもげんなり。触手云々も狙いすぎで……。
 土着神の伝承の辺りは良かったんですけどね。登場人物ではダントツでおばあちゃんがいいキャラしてました。エピローグ前の数ページがなければもっと良かったですが、そもそもあれを書きたくてこの話を書いたんだと思うと……非常に、微妙でした。

肷