「ブレイブレイド1 遺跡の虚人」

■感想メモ。
「ブレイブレイド1 遺跡の虚人」(あやめゆう・C★NOVELS FANTASIA)
ブレイブレイド1 - 遺跡の虚人 (C・NOVELSファンタジア)
 先の大戦の英雄を讃え、後継者を養成する目的で作られたサーディン聖央学院――その英雄を父に、「勇者」の名をほしいままにする優等生を妹に持つジンは、落ちこぼれ。早々に才能に見切りをつけ、英雄候補生らしくなく振舞う彼に周囲の目は冷たいが、妖精エリスやマイナー学科の変人学生たちとそれなりに学生生活を謳歌していた。そんなある日、研修先の遺跡で少女を拾った事で、生活は一変。「私はあなたのモノです」といい虚人と名乗るその人形めいた謎の少女の正体は?そしてジンの運命は!?

 シリーズ第1弾。
 「勇者」と呼ばれる優秀な妹、妖精、異国の女剣士(巨乳)、そして謎の少女。ヒロイン勢に囲まれて、チート魔剣を手に入れた落ちこぼれ主人公。
 パーツだけ見れば「良くある」設定ばかりですが、ここから主人公がもてはやされるハーレムが始まるわけではまったくありません。ある種のひねくれと皮肉に満ちた展開は、読んでいてわくわくしっぱなしでした。
 周りの人間は、雲の上のような実力者ばかり。しかし自分の弱さを知っているジンにはそれが強みとなって……才能に見切りを付けながらも努力は怠らず、諦めないで進むジンはかなりかっこいいです。
 ジンと別れた面々の出番もこれで終わりではないようで、いったいどのような再会を果たすのか、続きが楽しみでなりません。

肷

「華国神記 – 火焔の宴」

■感想メモ。
「華国神記 – 火焔の宴」(九条菜月・C★NOVELS FANTASIA)
華国神記 - 火焔の宴 (C・NOVELSファンタジア)
 疫から皆を救うために取った行動が春蘭に危機をもたらす。真名を奪った男、仲望の兄・玄楽に所在を捕まれてしまったのだ。緊張に満ちた日々を送る春蘭から仲望はなぜか離れようとしない。そして街中でついにふたりは玄楽と邂逅した!剣をもって兄を迎え撃つ仲望だが…。一方、主を失い苦しい経営が続いていた妓楼に、秋菊こと春蘭の占を条件に宴の依頼がくる。国を貫く陰謀が春蘭を絡め取ろうとしていた!―。

 シリーズ第4弾。
 最終巻を目前に、ついに仲望が主人公らしく……なんですが、今までが今までだったので、正直なところ違和感が(笑)。
 ここにきて、ストーリー収束に必要なキャラが一気に出そろった感。恋愛方面はどのカップルもやっぱりすんなりくっつけられない状況で、皆幸せになって欲しいと思うものの、現状は厳しいままですね。特に主役である春蘭と仲望はどういう結末になるのか、気になるところであります。他キャラは身分差やら立場の差がありますが、彼女らはそれ以上のものがありますしね……。
 最終巻で綺麗にまとまると良いなぁと願いつつ。

肷

「災獣たちの楽土3 蒼海の祈り」

■感想メモ。
「災獣たちの楽土3 蒼海の祈り」(尾白未果・C★NOVELS FANTASIA)
災獣たちの楽土3 - 蒼海の祈り (C・NOVELSファンタジア)
 災獣と呼ばれる巨大な「力」と、人はいかに向き合うのか。龍神が大陸を五つに割り、それぞれの島に守護神としての災獣を配したのは、人と災獣が共に歩む姿を見たかったからかもしれない。神槌・薙古・環天の三国が落ち着きをみせた頃、芳巻之国の災獣・風鳥は己の立場に憤り大暴れをしていた。そこへ律花之国の国主一族の姫が、芳巻国主の側妃として嫁ぐこととなった、が。―律花の姫は婚儀にカケラほどの興味もなく―。

 シリーズ完結。
 前半~中盤までの、末姫と国主の恋愛や、職人たちとの関わり合いは良かったものの、後半にかけて1・2巻主人公が出張ってきて、一気に3巻主役カップルの影が薄くなってしまいました。そしてスーパー災獣大戦へ……。シリーズをまとめるためとはいえ、3巻のキャラたちをもっと丁寧に書ききって欲しかったなぁというのが正直なところ。インパクト的には2巻主人公の依守也がずば抜けていて、彼が出ると他が霞んでしまうのはしょうがないという面もあるのですが……。同レーベルの「RINGADAWN」シリーズも前主人公たちに完結巻の主人公たちが食われるというところは似てるなぁと思ったり。
 でも、1・2巻のキャラたちのその後が見られたのは良かったし、シリーズの着地点としては良かったんじゃないかなと思いました。

肷

「新月が昇るまで3 夜明けの黒蛇」

■感想メモ。
「新月が昇るまで3 夜明けの黒蛇」(諸口正巳・C★NOVELS FANTASIA)
新月が昇るまで3 - 夜明けの黒蛇 (C・NOVELSファンタジア)
 信じていた相棒ニムが悪魔と知り、衝撃と同時に、二人を結びつけていた強い友情に気づき動揺するジグ。一方ニムは、狂王の子を身ごもったシヴルの願いを受け、魔王たちの住む“夜明けの館”へと単身乗り込んでゆくのだった。シヴルを縛る悪魔を殺すために、そして、自らの過去と向かい合うために―二人と、狂王、さらには王国ヴァロドニア全体の運命が大きく動き出してゆく…人と神と悪魔の物語、大転換。

 シリーズ第3弾。
 今回はニムとヘルムトが物語の中心。悪魔やら神やらの背景や事情が明かされたり、ジグとアッシュールの邂逅、<濡れ羽色の騎士>についてなどなど…最終巻に向けて色々動いたなーと。「ポロリもあるよ!」で文字通りポロっといってしまった人とか、血なまぐさい展開の中、ヘルムトとシヴル(ルシアナ)の仲の進展はにやにやできる数少ない癒しではありましたが、その反面、どんな突き落としが待っているのかいないのか、不安で仕方ありません。素直にハッピーエンドにはならなそうで……。
 いったいどういう結末を迎えるのか、最終巻も楽しみです。

肷

「夢の上 サウガ城の六騎将」

■感想メモ。
「夢の上 サウガ城の六騎将」(多崎礼・C★NOVELS FANTASIA)
夢の上 - サウガ城の六騎将 (C・NOVELSファンタジア)
 サマーアにアライスという「光」が現れ、人々は希望を取り戻す。だが、「光」を未だ目にすることのなかった時代、「光」が己の輝きの萌芽に気づく前、その姿はどう映っていたのだろう。混沌とする「未来」を決して諦めなかった者たちがいた。彼ら六人は時にアライスを支え見守り、救国軍の礎となる。そのケナファ騎士団の六士隊長の軌跡を追った連作短編集。

 全4巻で完結したシリーズの短編集。ケナファ騎士団の6人の士隊長を主人公とした連作短編で、物語の聴き手となっているキャラが次の短編の語り手になる…という形式になっています。
 実のところ、彼らは本編では脇役であり、程度の差はあれど、個人的にはそんなに馴染みのないキャラクターではありました。しかしながら、読み進めるうちにどんどん惹きこまれて行きました。切ない話あり、ほっこりする話しあり、でとても楽しめました。どの話も良かったんですけども、ラストのアーディン(正確には彼の両親に纏わる話)の短編は、本編を読み返したらまた違った印象を抱きそうで、何とも言えない気持ちになりました。
 次回作も楽しみにしています…なのですが、刊行予定は来年の春ということで、気長に待つことになりそうです。

肷

「RINGADAWN 虚戦士と終わりの鐘」

■感想メモ。
「RINGADAWN 虚戦士と終わりの鐘」(あやめゆう・C★NOVELSFANTASIA)
RINGADAWN〈リンガドン〉 - 虚戦士と終わりの鐘 (C・NOVELファンタジア)
 戦場に満ちる無念や呪怨から生まれすべてを殺すまで剣を揮う御伽噺の怪物「虚戦士」―前王の隠し子として軍に追われる少女ミルナの前に現れた少年は伝説さながらに感情も見せず禍々しいまでの力で追っ手を倒す。けれどミルナに向ける笑みははにかんだ子どものようで…御伽噺シリーズ、感動の大団円。

 シリーズ完結。
 1巻・2巻のメインキャラたちも勢ぞろいで、まさしく完結巻に相応しいお話でした。反面、1・2巻のキャラに押されて3巻のキャラがちょっと影薄いかなと思えましたけど、「終わりの鐘を鳴らして御伽噺を終わらせる」役目はきちんと全うしてましたね。
 妖精と灰色狼のやりとりも良かったですが、呪い笛吹きと騎士にはかなりやられてしまいました。2巻の時点では割と淡白な主従で、比重としてはイセリナの方に向いていた気がしたのですが……。ノルンの涙だとか、彼女の前では弱いところを見せるカミナなど、普段と違う人間臭さが見えるところがたまりませんでした。
 しかし味方側メンツが強すぎて、敵がちょっと可哀想でした。灰色狼+暗殺者+虚戦士の組み合わせとか負ける気がしませんね! 敵の思惑が見えにくかったのも、ちょっと残念な点でした。
 全体としては綺麗にまとまった、かなり楽しめたシリーズでした。

肷

「華国神記 虚空からの声」

■感想メモ。
「華国神記 虚空からの声」(九条菜月・C★NOVELS FANTASIA)
華国神記 - 虚空からの声 (C・NOVELSファンタジア)
 実兄とはいえ、真名を奪った犯人を庇う鄭仲望に複雑な思いを抱える春蘭。鄭家にいるのが気詰まりで、仕事と称して妓楼に入り浸る。同じころ貧民街で発生した流行病が猛威をふるい、急速に花街にも広まろうとしていた。このまま放置しては甚大な被害をもたらす。守り神が健在であれば起こるべくもない事態に、春蘭は仲望らと共に神域に向かう。その陰で国を揺るがす奸計が進行しているとも知らずに…。

 シリーズ第3弾。
 あちらこちらで恋の華が咲いていましたが、突発的なものが多すぎて吹いてしまいました。しかも、一筋縄ではいかなさそうな、障害が多いものや悲恋で終わりそうだったり片想いで終わりそうなものがほとんどで、彼らの行く末を案じてしまいます。メインである春蘭と仲望は、外堀を埋められている割には「恋愛」という感じではないですね。距離は縮まったようですが……。
 終盤、とあるキャラの退場は意外で、哀しかったです。あのひとを拠り所としているキャラも多いだけに、今後の波乱がますます大きくなりそうです。

肷

「片翼の天馬 – 熱砂の巨兵2」

■感想メモ。
「片翼の天馬 – 熱砂の巨兵2」(黒川裕子・C★NOVELS FANTASIA)
片翼の天馬 - 熱砂の巨兵2 (C・NOVELSファンタジア)
 本当に自分は「最後の天馬」なのか?“巨兵”の力を使い、斜指の都を崩壊させたカルスはタラマ中のお尋ね者となる。潜伏先に死の都を選んだ一行だが、奇沙の傭兵隊の襲撃を受け、ジェリンが連れ去られてしまった。奇沙は舟守シーバを追放した因縁の地。カルスたちは死を覚悟してジェリン奪還に乗り込む。一方、四貴では“白天馬”が裏切り者として牢に繋がれていた。来るべき天馬の成熟の刻に、焦る“白天馬”だが…。

 シリーズ第2弾。
 「最後の天馬」であること以外は普通の少年でもあるのに、主人公カルスに課せられた道のりはただひたすらに、険しい。どうしようもない選択を迫られることも多いし、かといって周囲が年相応に甘やかしてくれるわけでもないので(力を貸してくれたりするのも「天馬だから」と言うのが大きいし)、読んでいて胸を締め付けられます。辛いことばかりが続くので、もっとカルスが報われればいいのになと思います。
 全4巻とのことで次が折り返して後半戦。各勢力の行方や、はぐれたキャラたちとの再会を楽しみにしつつ待ちたいです。

肷

「最果ての少年―熱砂の巨兵〈1〉」

■感想メモ。
「最果ての少年―熱砂の巨兵〈1〉」
最果ての少年―熱砂の巨兵〈1〉 (C・NOVELSファンタジア)
 数百年の間、竜巻に閉じこめられた辺境の村で、まだ見ぬ“海”に憧れる少年カルス。大地が揺れた夜、緑の炎をかざす兵士たちが村を襲う。愛する者たちを殺され、辛くも逃亡したカルスを待っていたのは、果てしない死の砂漠だった。美貌の敵将“白天馬”への復讐を誓い、カルスは“黄金の砂”をめぐる戦乱に身を投じる。自身に、世界を救う“力”が眠っているとも知らずに…。疾風怒涛の冒険ファンタジー、開幕。

 シリーズ第1弾。
 1冊目だけあってかまるっとプロローグのような内容でしたが、世界観もキャラクターもみっしり詰まっていて読み応えがありました。後半にばたばたっとキャラが増える印象で、ちょっと把握に手間取りましたが……。主人公たちに、それぞれの陣営に……と、思惑がどう絡み合っていくのかが楽しみです。村の襲撃から〈白天馬〉を主人公が仇と憎むのは当然の流れなのですが、〈白天馬〉の反応は思わぬもので、彼ら二人の関係はどうなっていくのだろう、仲良くなるような展開はあるのだろうか、と気になりました。一方の主人公とシーバの関係はやや唐突なものに感じられてしまったので、「絆」がこれから築かれていくのに期待しています。
 

肷

「新月が昇るまで2 鋼鉄の少女」

■感想メモ。
「新月が昇るまで2 鋼鉄の少女」(諸口正巳・C★NOVELS FANTASIA)
新月が昇るまで2 - 鋼鉄の少女 (C・NOVELSファンタジア)
 一年で聖ロジリアン神国を灰燼に帰すのだ―王国ヴァドロニアの狂王によって集められた灰燼騎士団。高い破壊能力を持つ巨大な鋼鉄の怪物を召還する力を買われ、騎士に任命された少女サンナは、これまで信じて来た教会を敵にし、天使すらも殺戮するようになる。生きるために、そして、魔女として処刑されるところを助けてくれたジグやニムのために…。気鋭が描く人と神と悪魔の物語。緊迫のシリーズ第二弾。

 シリーズ第2弾。
 巻によってメイン視点となるキャラが変わるようで、今回はサンナが主役。ジグラートとニムが別々に行動しているので、二人の掛け合いがあまり見られないのが残念だなぁと思っていたら……。サンナとニムという組み合わせも面白かったんですけどね。すぐには難しいと思いますが、再びあのコンビが見られることを願ってやみません。心の尻尾はがっちりつかまれていたようです。
 キャラもだいぶ増え、色々明かされたこともあって、この先どうなるんだろうとわくわく。特に師弟対決が気になります。わりとさくさくキャラが死んでいくので、最終的に師匠も死んでしまいそうですが……。

肷