「上海恋茶館 待ちぼうけのダージリン」

■感想メモ。
「上海恋茶館 待ちぼうけのダージリン」(青木祐子・コバルト文庫)
上海恋茶館 待ちぼうけのダージリン (コバルト文庫)
 二十世紀初頭、上海租界の英国人屋敷。両親が行方不明になって半年。十六歳のリリアは保護者のフェイに支えられながら、愛する紅茶を淹れる日々を過ごす。ある日、従兄弟のライオネルが、母国への帰国と結婚を迫ってきた。その目的は、ミルドレッド家の莫大な財産。その頃、家出同然に上海港に辿りついた日本人青年・楠木龍之介がいた。彼はリリアの恋人役を引き受けることになるが…。

 シリーズ第1弾。
 時代と舞台の雰囲気がなかなか良いなぁと思いました。
 登場人物の中では群を抜いたダメっぷりを終始発揮するライオネルが特に気になりました。他の人物たちが世慣れている中であの世間知らずさではさもありなん……という感じでしたが。ひたすら転がされている悲惨さ。面白いキャラでしたけど、再登場はないかな……? ヒロインのリリアはただ求婚をかわしたいだけのお嬢様ではなかったところに意外性があってよかったですね。龍之介の方も一筋縄ではいかなさそうなところがリリアと釣り合いが取れてますね。
 全体としてみると派手さには欠けるお話でしたが、この先どう展開していくのかは気になるところです。

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「記憶泥棒 きっとあなたを好きになる」

■感想メモ。
「記憶泥棒 きっとあなたを好きになる」(神埜明美・コバルト文庫)
記憶泥棒 きっとあなたを好きになる (コバルト文庫)
 誰からも慕われる王子アドリアンが、魔物に記憶を奪われてしまった。王子の秘密の恋人だったリュドミカは、すべてを忘れてしまった彼に、事実を告げることができない。もともと許されない恋だから―迷いながらも、騎士団の一員でもあるリュドミカは、王子の記憶を取り戻すために魔物を追う。だが上司でもある当の王子は、やる気があるのか微妙な態度で…?身分違いの恋の行方は。

 秘密の恋人だった相手が記憶喪失になり、そのことを忘れてしまった……という設定は好みなんですけど、王子様が落ち着きすぎ&一人でほいほい解決してしまうので、ただリュドミカが空回りしてるだけのように見えてしまいました。王子は別に記憶喪失になってもそんなに困っていない(ように見える)ので、悲劇的な感じも薄いです。着地点が「恋人だったことが分かること」で、他のことが結構置き去りにされているので、すっきりしない感じ。もうちょっと、秘密の恋人だった頃の話とか、いちゃいちゃしてる(た)ふたりを見てみたかったです。

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「姫婚オールアバウト」

■感想メモ。
「姫婚オールアバウト」(野梨原花南・コバルト文庫)
姫婚オールアバウト (コバルト文庫)
 ファルサン王家の姫でありながら、町中で普通の庶民として暮らすレッカ。まだ16歳なのに、バツイチである。ある日、レッカのもとを、王宮からの伝令が訪れる。西の山の魔王が、王の娘を嫁に望んでいるというのだ!それを聞いたレッカは、伝令のメレンと、男なのにエプロンドレスを着たメイドのネリネと、王宮ではなく西の山へ向かうと言い出して!?バツイチ姫の再婚(?)ファンタジー。

 1冊読み切り。
 さくさく進んでテンポは良いものの、ちょっと男性キャラの人数が多すぎたのではないかなと思いました。登場人物紹介ではミケがメインぽいですがそうでもなく、メレンの善性についても描写不足が否めない。ネリネは登場人物紹介で「女言葉」と書かれているのに本文では(メイド服着用以外は)普通にかっこよくて個人的には一番気に入りました。彼とレッカの出会いはちょろっと触れられていましたが、ふたりでの生活模様が気になり過ぎる……。
 レッカは作者らしいヒロインですが、どっちかといえば読者置き去りでどんどん進んで行っちゃうタイプ。感情移入はしにくいです。でも最後の一ページには笑わせてもらいました。上手いオチでした。

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「グランドマスター! 名もなき勇者の物語」

■感想メモ。
「グランドマスター! 名もなき勇者の物語」(樹川さとみ・コバルト文庫)
グランドマスター! 名もなき勇者の物語 (コバルト文庫)
 ハルセイデスとシーカに合流したカイたちだったが、シーカの変貌に戸惑っていた。火に焼かれてもヤケドせず、水にもおぼれず、食事をしなくても生きていけるが、自我が消失している―そんな存在となったシーカを守り、隠れて暮らしていた小屋を、闇の勢力が襲った!ハルセイデスも奮闘するが、多勢を前に剣は折れ、シーカともはぐれてしまい!?「黎明の使者団」の旅、ここに終結。

 シリーズ完結。
 11巻続いてこういう結末かと、ちょっと残念な感じでした。あと1冊くらいは欲しかった……。ばらばらになった皆も集結するし、ひとりひとりの成長が見られるし、脇のおっさんキャラたちがいい味出してるし、と良かったところもたくさんあったのに、ものすごく消化不良……。あれよあれよという間に一足飛びに終わらせちゃった感。最後なんだからシーカとハルさんのラブラブなとこ(あとセクハラ)を見たかったというのが正直なところです。あと個人的にはモテ期が来ちゃったハルさんの絵とか見たかったんですが(笑)。

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「ヴィクトリアン・ローズ・テーラー 恋のドレスと湖の恋人」

■感想メモ。
「ヴィクトリアン・ローズ・テーラー 恋のドレスと湖の恋人」(青木祐子・コバルト文庫)
ヴィクトリアン・ローズ・テーラー 恋のドレスと湖の恋人 (コバルト文庫)
 スコットランドにある、マクダフ城を脱出することに成功したクリスとシャーロックは、安宿に身を潜めていた。改めてクリスを愛していることに気づいたシャーロックは、階級を超えクリスと一緒になる決意を固める。一方、クリスの留守を守る『薔薇色』のパメラのもとに現れたのは、マクダフ城の混乱で行方知れずになった、クリスの母親で闇のドレスの縫い子である、リンダ・パレスだった!

 シリーズ第21弾(本編だと18冊目)。
 ようやくシャーロックとクリスのいちゃいちゃが……と思ったらどうにもこうにも。うっかり余計なことを口走ってクリスに逃げられてしまうシャーロックがたまりません。ついつい応援したくなってしまうダメっぷりが魅力です。そんな主を心配してのアントニーの台詞は(本人はいたって真面目なのですが)微妙に笑いを誘ってくれました。
 シャーロック&クリスの今後とか、アイリスのこととか、見どころは色々あったのですが、一番疑問だったのはイアン先生の行動でした。え、これからどうするつもりなの?と。パメラにも幸せになって欲しいので、気を揉んでしまいます。

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「愛は神聖文字に導かれて 恋人たちのファンタジー・ヒストリカル」

■感想メモ。
「愛は神聖文字に導かれて 恋人たちのファンタジー・ヒストリカル」(花衣沙久羅・コバルト文庫)
愛は神聖文字に導かれて 恋人たちのファンタジー・ヒストリカル (コバルト文庫)
 神殿で書記として働くナナクト。地味で役にたたない自分に引け目を感じている彼女には一つ、特別な力がある。神さまの声を伝える文字‐宙に浮かぶ神聖文字‐を読むことができるのだ。ある日、王の危機を知って急いで駆けつけたところ、暗殺者の疑いをかけられてしまう!容疑が晴れるまで、第一王子のソカリスと行動を共にすることになってしまい…!?永遠のハッピーエンド・ロマンス。

 家業の手伝いも満足にできず、書記になるのも反対され、でも秘密の力がある……というヒロインがひょんなことから王家を巡る陰謀に巻き込まれて王子様とハッピーエンドになるお話。ストレートに王道でベタです。細かいところを気にせず、ヒロイン視点で恋愛を楽しむのにはいいのかも。でも、王子様がいつどんな理由でヒロインを好きになったのかいまいちわかりませんでしたが。
 ご都合主義と言うか、何でもかんでも神様頼みで尋ねたら教えてもらえるのはずるいと思います。王子様にとばっちりが行きますが、原理も解除も何だかあやふやで行き当たりばったり。もっと掘り下げたら面白そうだけど、恋愛以外は重視してないのかな…と思ったりしました。脇役の処理も結構いい加減で、黒幕とかその扱いでいいのかと突っ込みたくなります。

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「グランドマスター! 黎明の繭」

■感想メモ。
「グランドマスター! 黎明の繭」(樹川さとみ・コバルト文庫)
グランドマスター! 黎明の繭 (コバルト文庫)
 教皇庁と闇の勢力から姿を隠し、ハルセイデスとシーカは穏やかな生活を送っていた。だが、シーカは神の器として目覚め始め、自我の喪失が進んでいた。一方、アスティルは闇の力を操る謎の男と対峙し、闇の勢力の力と信仰をかいま見ていた。散り散りになった“黎明の使者団”団員たちも次第に事情を知り、シラス、カイ、ノールソールはハルセイデスのもとへと駆けつけるが!?緊迫の急展開。

 シリーズ第10弾。
 シーカの視点で過去が語られて、今までの変態的態度の理由が明らかに。……なったのはいいんですが、ハルさんには明かさないままの方がいいんじゃないかなと思ったり(笑)。なんにせよ、もう一度シリーズ序盤から読み返したら、彼女に対する印象ががらりと変わりそうです。
 バラバラになった団員たちも、少しずつ集まり始めて。誰に言われたのではなく、自分たちの意志でしっかり行動できているのが何だか頼もしく感じました。それにしても、ノールソールの有能っぷりが意外。微妙に集まれるか不安な人もいますが、全員揃ったところが早く見たいです。

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「ヴィクトリアン・ローズ・テーラー 恋のドレスと月の降る城」

■感想メモ。
「ヴィクトリアン・ローズ・テーラー 恋のドレスと月の降る城」(青木祐子・コバルト文庫)
ヴィクトリアン・ローズ・テーラー 恋のドレスと月の降る城 (コバルト文庫)
 ようやく母のリンダと再会を果たしたクリスは、ジャレッドの制止も振り切り、リンダと行動をともにすることを決める。これ以上、リンダに闇のドレスを作らせないためだ。そして向かった先は、スコットランドのマクダフ城。リンダの愛するヒューバートの城である。一方、シャーロックはクリスを連れ戻すためマクダフ城を訪れるが…。恋のドレスと闇のドレスに翻弄される恋人たちの運命は。

 シリーズ第17弾。
 今まで詳しくは語られなかったリンダやコルベールの事情や想いが表に出ましたが……重たい。過去のクリスの選択は正しかったのか。どっちにしろ誰かは救われない話だというのが重たいです。ヒューやリコは予想外のキャラでした。特にリコは前に書かれたことをまるっと信じていたので、まさかあんな子だったとはと驚き。
 シャーロックがかっこよくて良かったのですが、アントニーが危惧したとおりになっていて、これでこそ彼だと妙なところで安心したり(笑)。騎士役を買って出たジャレッドの株は今回かなり上がりました。全体的に男性陣が頑張ってる巻でした。エピローグに笑いました。
 ひと段落ついたようでいて、女性陣の問題が片付いていないのと、やはりクリス&シャーロックの乗り越えないといけない壁は残っているのとで、続きが気になるところです。

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「ヴィクトリアン・ローズ・テーラー 恋のドレスと聖夜の求婚」

■感想メモ。
「ヴィクトリアン・ローズ・テーラー 恋のドレスと聖夜の求婚」(青木祐子・コバルト文庫)
恋のドレスと聖夜の求婚―ヴィクトリアン・ローズ・テーラー (コバルト文庫)
再会したクリスに思いがけない別れを告げられたシャーロック。失意のシャーロックは、モアティエ公爵家の令嬢コーネリアの恋愛騒動に巻き込まれ、ある決断をすることに…。一方、シャーロックを忘れられず、辛い日々を送るクリスは、ジャレッドから母リンダの居場所を聞き母に会いにいく。錯綜するそれぞれの恋の行方は…。ヴィクトリアンラブロマン、シリーズ急展開。

 シリーズ第19弾。もうすぐ20冊に届いてしまうくらい続いていたことにちょっと驚き。
 いつもはシャーロックに苛々させられて時には殴り倒したいような衝動に駆られることもあるのですが、今回は逆にクリスに苛々とさせられる場面が多々あったと思います(さすがに彼女を殴りたいとは思いませんが)。逆にいえば、シャーロックの一途な頑張りを本当に応援したくなった、ということでしょうか。ふっ切って全力で行動に出た彼が実にヒーローらしくて良かったです。周囲のキャラたちも、綺麗に収まってほっとしました。これで後はシャーロックにびしっと決めてもらうだけですが……ちょっと不安も残るのがなんとも言えないです(笑)。

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「グランドマスター! 刻まれた聖痕」

■感想メモ。
「グランドマスター! 刻まれた聖痕」(樹川さとみ・コバルト文庫)
グランドマスター!―刻まれた聖痕 (コバルト文庫)
 法皇との謁見中、突如巻き起こった竜巻の中、姫総長シーカの身には異変が起き、“黎明の使者団”は離散した。団員たちは、団長不在のまま、それぞれの道を歩き始めていた。ハルセイデスの残した「生きのこる道だけを考えろ」という言葉を胸に。しかし、シーカを狙う闇の勢力の遠謀は、着々とその輪を狭めていた。そして、ハルセイデスと共に市井に潜むシーカに決定的な変化が現れ…。

 シリーズ第9弾。
 今回は短編の収録もなく本編のみでした。なのにあんまり進んだような気がしないのは、話に区切りがつかないからでしょうか。主役二人がほとんど出てこないからかもしれません。ずーっとシリアスなのも息が詰まりそうです。
 主に頑張っていたのはアスティルなのですが、個人的にはシンドーおとうさんのエピソードの方が印象的でした。本当に良いお父さんで、良い子どもたちです。
 他の団員たちについてはかなり気になるところで放置されてるキャラもいたりして……、どこまでこのシリアス話が続くのか、ちょっとだれてきた感もあります。そろそろ再結成とかでびしっと決めて欲しいものです。

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