「恋する王子と受難の姫君」

■感想メモ。
「恋する王子と受難の姫君」(小椋春歌・B’s-LOG文庫)
恋する王子と受難の姫君 (B's-LOG文庫)
 若き兵士・ミラは、とにかく悩んでいた。なぜなら、お忍びで訪問していた大国の王子・アレクシスに、異常に気に入られてしまったから!
 始めは気づかないフリをしていたものの、王子の行動はエスカレート!!呼び出し、買い物当たり前。「一緒にお風呂に入りましょう」ってマジ!?
 さらにはミラさえも知らなかった過去の秘密まで暴き出し……。「あなたをずっと、探していました」――それって一体誰のこと?

 第13回えんため大賞特別賞受賞作。
 「明るく楽しくみんな幸せ」なお話。軽く読めて1冊で綺麗にまとまっている、という点はとても良かったです。
 あらすじを読んでから本文を読んだのに、主人公・ミラを「女の子」と認識してしまっていたため(たぶん名前でそう判断したのだと思われます)、序盤は「!?」となってしまいました。
 詳しく語るとネタバレになるので伏せますが、登場人物たちの愛がぎっちり詰まった話だなぁという印象でした。政治的なこととか、深く突っ込んだら負けのような気がします。この国も隣の大国も呑気すぎる……。読んでいて、王子の過去の行動は「それはない」と思いましたが、まぁ本人たちがいいならそれでいいのかなぁと。結局一番得したのは王子のような……。

肷

「アルケミストの誓約 黄金の騎士の恋物語」

■感想メモ。
「アルケミストの誓約 黄金の騎士の恋物語」(栗原ちひろ・B’s-LOG文庫)
アルケミストの誓約 黄金の騎士の恋物語 (B's-LOG文庫)
 「誓います―俺の女王陛下。永遠に、あなたと共に」…舞台は、世紀の博覧会が間近のコローニアへ!ウィルとアンジェリンは兄弟のふりをして市街に潜伏し、新政府とリナルドの動向を探る。きたるべき決戦に備え、“毒舌幽霊執事”エルネストの復活の儀式も行われるのだが…?故国のために世界征服を夢見る少女と、私欲のために世界を壊そうとする男。双方の想いをのせ、絢爛たる大博覧会は開幕する―!白金の王女と黄金の騎士―純粋に想いあうふたりが辿り着いた、理想の王国とは。

 上下巻構成の下巻。
 2冊に収めるには少し設定過多で描き切れていない部分があるように思うのと(特に敵サイド)、やや駆け足だったかなというのが残念でしたが、それを補って余りある、綺麗で幸せなエピローグでした。
 ウィル、エルネスト、アンジェリンの3人の立ち位置は絶妙。単純な逆ハーレムだったら苦手な話で済んでしまったかもしれませんが、ウィルとエルネストの「なんだかんだでお互いのことを認めている(特にエルネスト側)」ところと、アンジェリンに対して一途な想いを抱いているある種似た者同士な関係性がかなり好きでした。エルネストは引き際もお見事でした。個人的にはウィルの方がキャラクターとしては好みなのですが、エルネストは憎めない感じがいい味出してました。
 幸せなメインキャラの影で、不遇な脇役も……。ギャリーの出番があっけなさすぎて、ちょっとショックでした。その後もうちょっとフォロー欲しかったです。

肷

「アルケミストの誓約 白金の王女の夢物語」

■感想メモ。
「アルケミストの誓約 白金の王女の夢物語」(栗原ちひろ・B’s-LOG文庫)
アルケミストの誓約 白金の王女の夢物語 (B's-LOG文庫)
 「―私が世界を征服したら、あなたは私の“騎士”になってくれるか?」世界を揺るがした大戦争から2年。かつてコローニアの英雄と称えられ、いまは中立国で若隠居を決め込んでいるウィルのもとに、少々危険そうな依頼が舞いこんだ。海岸で出会った依頼人―アンジェリンは、白梟を連れた自称・天才錬金術師という怪しい美少女。おまけに、やたら美形で毒舌な執事の幽霊がまとわりついていて…!?“元英雄”と“亡国の王女”。ふたりの運命が交わり、輝かしき王国の物語は動き始めた。

 上下巻の上巻。
 戦場で英雄とされながらも逃亡し、今は近所の人に”役立たず”なんて言われつつもへんてこな小説を書きながら隠居している……という、ウィルは非常に私好みの設定でした。一方ヒロインのアンジェリンは突拍子もない台詞がぽこぽこ飛び出て性格がつかみにくく、毒舌幽霊のエルネストはいちいち突っかかってくるのが邪魔くさいなぁ……などと思っていたのですが、終盤まで行くと不思議と3人でいることがしっくり来るようになっていました。
 上巻は世界設定の説明などで少しごたついていた感もありますが、下巻ですっきり終幕になってくれればいいなぁと。
 しかし一番の謎はウィルの小説なんではないかと思ったり……。プロローグのとき言ってたのと書いてるものが違いすぎるし、なんでそういう方向に……?

肷

「花は後宮にあり!」

■感想メモ。
「花は後宮にあり!」(高丘しづる・B’s-LOG文庫)
花は後宮にあり! (B’s‐LOG文庫)
 初恋の少年は後宮内で死んでいた―!?借金返済のため宮女見習いとして後宮入りした露露。彼女の野望は都で初恋の少年“楊寒月”を探すこと!…だったが、入宮早々に聞かされた不可思議な事実―“楊寒月”とは宮内で死んだ女で禁忌名―に衝撃を受ける。見失った初恋の行方、相次ぐ仕事の失敗に落ち込みながらも露露は類稀なる嗅覚を発揮、次期国王の窮地を救って昇格!だが、ようやく傷心が癒えた頃、昔の面影を残した“楊寒月”が現れて―!?謎めく後宮ファンタジーが花開く。

 シリーズ第一弾。
 中華風世界、後宮という舞台なのに、それらにそぐわない要素が目立ちます。「糖尿病」「合併症」「敗血症」等……どうしてもその病を使いたいのであれば、名前だけでも変えればよかったのにと思わずには居られません。あと、後宮のわりには男性キャラが思ったより多く出てくるとか、女性同士の争いがあんまりなくて単なる「女性だけの賑やかな職場」のような雰囲気なのが気になりました。せっかく仕事内容やら役職やら細かく設定しているのだから、土台となる世界観ももっと大事にして欲しかったです。
 ストーリー的にはサスペンス風で恋愛は薄め。初恋の人の影は薄いです。ヒロインには彼を探す以外にも「家族のために借金を返済する」という目的があるはずなのに、あまりにも後先を考えない行動が多すぎてどうかと思いました。同室の子とか上司とか、良さそうなキャラはちらほらいたのですが……。
 

肷

「眠り王子と永遠の都」

■感想メモ。
「眠り王子と永遠の都」(秋永真琴・B’s-LOG文庫)
眠り王子と永遠の都 (B’s‐LOG文庫)
 贈り物のチョコレートの山を前に、エイジとレンが「去年より減ったな」と呟き、マーヤは驚愕。そんな平和なバレンタインを経て迎えた、ゲオルギウス学院の卒業式。来賓代表の若い総理大臣・煕斗=マジマが壇上で告げた「変革の時はきた」という言葉に、マーヤの心は不安にざわめく。その日の深夜、学院の時間塔が天に向かって光の柱を放つという怪現象が起こり―!?愛すべき日常と、ナユタから受け継いだ魔術師としての使命。マーヤは大切なものを、ひとを、護ることができるのか?怒濤の完結編。

 シリーズ完結。
 2巻読んだ時点で「これは3巻で綺麗に終われるんだろうか」と危惧していましたが、かなり力技な終わらせ方でした。2~3冊分のストーリーが一気に流れて行った感じ……。”ムカイへの「借り」”という伏線を一瞬で消化しきったのは吹きました。あれよあれよという間に話が展開していって、かなり置いてけぼりでした。新キャラである敵さんもぽっと出な感じが否めない。敵同士の絆も唐突に感じる。と、ストーリーを圧縮したがための欠点も。
 ただ、既刊で登場済のキャラについては、上手に動かしていたなと思います。ナナミとおばあちゃんがすごくいい。ナナミなんて1巻のときは単なる嫌味お嬢様だったのに、成長したものですね。是非国の未来を引っ張って行って欲しいです。
 しかしせっかくのメガネっ子(作者のこだわり)なのに、最終巻もヒロインは表紙ではメガネ外してますね……。

肷

「おくにぬ!~憂鬱の神々と救世の徒~ 」

■感想メモ。
「おくにぬ!~憂鬱の神々と救世の徒~ 」(辺見えむ・B’s-LOG文庫)
おくにぬ! ~憂鬱の神々と救世の徒~ (B’s‐LOG文庫)
 ごくごく平凡な高校生のミイが、居眠りしている間に落とされた世界。そこは、天を統べるアマテラスと、地上を治めるオオクニヌシが対立し、異形の魔物が跋扈する驚愕の乱世・大和時代だった―!?世界の滅亡を防ぐため、あらゆる時代から降ろされた“ヤドリ”と呼ばれる人間たち。ミイは、一緒に落ちてきたはずのクラスメイトのタカムを必死で探すが…?“だぜよ”が鼻につく坂本龍馬に、半神の少年・ヤマトタケル。個性光りすぎなキャラ続々!驚天動地のスペクタクルファンタジー。

 簡潔な文章でさくさくとテンポよく読ませてくれるのだけど、その分説明や描写が足りてません。「スーパー日本史大戦」と命名したくなるような登場人物のチョイスとかはいいのに、何だか中途半端でもったいない(歴史上の有名人が全員挿絵でイケメンだったのは笑えました)。シリーズ化する予定だったのか、終わり方もすごく尻切れトンボで「え?これで終わり?」と驚かされました。
 それにしても、滅亡寸前の世界から飛ばされてきた主人公はともかく、他の時代から来た人は、いなくなったことで歴史改変とか起こらなかったんだろうか……というのが気になりました。死んでから来たわけではなさそうでしたし。

肷

「眠り王子と妖精の棺」

■感想メモ。
「眠り王子と妖精の棺」(秋永真琴・B’s-LOG文庫)
眠り王子と妖精の棺 (B’s‐LOG文庫)
 マーヤは、晴れてゲオルギウス図書館の新人局員となった。局長のアキラにいびられながら業務をこなし、自らの魔術の訓練に励みつつ、エイジの部屋でお茶をする、充実の図書館生活。ただしエイジとの関係は、レンに監視されて微妙なまま…。そんななか、年に一度の学園祭シーズンが訪れる。マーヤと構内で「デート」すると言いだしたエイジに、マーヤは大緊張!閉ざされた名門校に漂う浮き足だった空気は、異分子の侵入も許してしまい…?大人気の学園幻想ファンタジー、待望の続編登場。

 シリーズ第2弾。
 今回のメインは一般常識が大いに欠けてるエイジとのデートであり、他はおまけみたいに感じました。というのも、事件を起こした人物がぽっと出で前回ほど話が練られていなくて、縮小再生産の域を出ないのです。妖精の誤解を解くのはまぁいいとして、この調子だとすぐにマンネリ化してしまいそう……と思ったらどうも3巻で完結のようで驚きました。ヒロインに求愛してくるイケメンが突然出てきたばかりだというのに、あと1冊で話を畳んでしまうのは難しそうです。
 エイジ&マーヤの恋愛ぶりはやはりどこか付いていき辛い部分がありましたが、レンが1巻と変わらない様子だったのは一安心。ナナミの扱いがあまりも可哀想なので、最後くらいは彼女にも救いがあるといいなぁ。

肷

「眠り王子と幻書の乙女」

■感想メモ。
「眠り王子と幻書の乙女」(秋永真琴・B’s-LOG文庫)
眠り王子と幻書の乙女 (B’s‐LOG文庫)
 難関を勝ち抜き、名門・ゲオルギウス学院に入学したマーヤ。応援してくれた祖母からのお祝いは、“ナユタズ・ロスト”と呼ばれる、旧魔術の叡智を秘めた稀書だった。その鑑定を依頼するために持ち込んだ学院付属の図書館で、マーヤは、お菓子を食べては眠りこける絶世の美少年・エイジと出会う。彼に仕える辛辣眼鏡の少年執事・レン、マーヤの“ロスト”に異常な執着を示す図書局長・アキラ…。次々現れる個性的な男子たちに、始まったばかりの学園生活は波乱の予感!?大注目のデビュー作が登場。

 シリーズ第一弾。
 あとがきによると主要キャラ全員メガネにしようかと思ったくらい作者はメガネスキーのようですが、表紙イラストではヒロインがメガネをしてませんね……(よく見ると右上の方に何故かメガネが吹き飛んでいる)。
 読んで最初に引っ掛かるのが世界観。ゲオルギウス学院という物々しい名前の学校があるのがトーキョー都ミナト区。人名は漢字名+カタカナ姓、でも本文では名前をカタカナ表記。……というどこかちぐはぐな印象が拭えなくて、全部西洋ファンタジーっぽくしてしまえば良かったのにと思ったりしました。
 逆ハーレムのように見えて、ヒロインの相手役は一人だけ、というのは良かったです。ただどうして恋に落ちたのかいまいち伝わって来ませんでしたが……。キャラとしては、普段マーヤに冷たく当たるくせに肝心なところではさりげない気遣いを見せるレンが好み。喋っている口調だけ見たらまったく執事には見えないですけどね。

肷

「夜を待つ姫君~スワンドール奇譚~」

■感想メモ。
「夜を待つ姫君~スワンドール奇譚~」(剛しいら・B’s-LOG文庫)
夜を待つ姫君 ~スワンドール奇譚~ (B’s‐LOG文庫)
 出生に謎を持つ美少女・アンナは、深い森の古城で何の不自由もなく健やかに育てられた。育ての親で城の主、ジュリアン・ザビエル侯爵は「奇病に冒されている」ため、滅多に外出もせず、食事はワイン1杯のみ。ジュリアンの正体に疑念を抱くアンナだったが、成長するにつれ彼の深い愛情にどうしようもなく惹かれていき―!?一方、軍部の謀反により混迷するスワンドールでは、王族の唯一の生き残りがいるという噂が流れて―!?

 シリーズ第一弾。同じ世界を舞台にした読み切りシリーズのようで、今作も1冊で綺麗に終わっています。
 ジュリアンがアンナを拾うところからはじまり、彼女が成長するまでを描いているからか、少し駆け足気味で、登場人物たちの感情を書ききれていない感じがしました。どのキャラもわりとさらりと流されていて、激しい起伏はあまり感じられず。小さいころのアンナの「お父様大好き!」っぷりは可愛かったですが。
 ストーリーはお約束で先が読みやすかったですが、その分安定していたと思います。かつて共に過ごした人々と違う時を過ごすこととなったある登場人物の独白が、ほんのり切ない余韻があって良かったです。

肷

「ハミルティアの花庭~壊しの聖女と赤炎の王子~」

■感想メモ。
「ハミルティアの花庭~壊しの聖女と赤炎の王子~」(香月沙那・B’s-LOG文庫)
ハミルティアの花庭 ~壊しの聖女と赤炎の王子~ (B’s‐LOG文庫)
 王庭でのみ芽を出し、花開く瞬間に人の手が触れることで至高の結晶となる『富貴花』。“壊しの”セラフィーナは、『富貴花』を咲かせる学校でトラブルばかり巻き起こし、ついに退学になってしまった。実家に戻る前日の夜、ペットのカシュカシュを探して花庭に迷いこんだセラフィーナは、見知らぬ青年が咲かせていた『富貴花』を誤って粉々に壊してしまう…!ところがそれを見た青年から代償に「俺の妻になれ」と言われて―!?うるわしの花庭に咲く、華麗なドラマティック・ファンタジー開幕。

 シリーズ第1弾。
 「徹底スルー」「脳内スルー」「ナチュラルに~」「放置プレイ」等々、やたらと現代的な単語が目に付いてちょっと挫けそうになりましたが、全体的な雰囲気はまぁまぁ良かったです。
 イヴァンはあらすじとかあとがきで書かれているような強引さ・オレサマっぷりは薄めで、敵対する相手には容赦はしないし兄にも不器用に接するけれど、セラフィーナに対しては一貫して真摯な態度だったのが○。読んでいてどの辺が「ツンデレオレサマ王子」なのか分からないくらいでした。セラフィーナは……天然さがあざとすぎると思うのですが、こちらも一貫してイヴァンへの信頼を貫いたのは良かった。まっすぐなほのぼのカップルを眺めている分にはいい作品かな、と思いました。

肷